10代・20代の頃は胸郭と胸椎が大きく動き、野球では速い球を投げ、ソフトボール投げやハンドボール投げでの遠投、体力測定の上体反らしも得意でした。
ベンチプレスでも高いアーチを作ることができ、自己ベストは体重67kgで205kg。180kg以上も2004年から23年連続で成功しています。
しかし現在は、ベンチプレスで以前のような高いアーチ(ブリッジ)を作れなくなりました。胸椎の伸展・回旋・側屈も制限され、腹式呼吸や肋骨を左右・背中側へ広げる呼吸も行いにくくなっていることに気づきました。
さらに、2025年には右肩腱板断裂の手術を受けています。現在も180kgのベンチプレスは挙げられますが、実施後に右肩の腫れや痛みが出ることがあります。
腰にも腰椎L4–L5のすべり症があり、右脊柱起立筋が過剰に緊張しやすい状態です。
「挙げられる重量」と「今、扱うべき重量」は同じではありません。
そこで、これまでの高重量中心の考え方を一度整理し、筋力を維持しながら、胸椎・胸郭・肩・腰の動きを再構築する4週間のプログラムを開始します。
プッシュ・プル・レッグを週2回ずつ実施
週間スケジュールは次のように組みました。
- DAY1:プッシュA・ベンチプレス中心
- DAY2:プルA・水平に引く種目中心
- DAY3:レッグA・SSBスクワット中心
- DAY4:プッシュB・ラーセンベンチ中心
- DAY5:プルB・懸垂や片手種目中心
- DAY6:レッグB・5cm高デッドリフト中心
- DAY7:腹筋・胸椎・呼吸の回復日
完全な休養日は設けず、7日目を負荷の低い回復日に設定します。
ケーブルクランチ、パロフプレス、キャリーに加え、胸椎CARs、側屈、腹部・脇腹・背中側を膨らませる360度呼吸を行います。
三つの運動面を取り入れる
筋力トレーニングは、スクワットやデッドリフトなど、身体を前後方向に動かす矢状面の種目が中心になりやすい傾向があります。
今回のプログラムでは、次の三つの運動面を意識します。
- 矢状面:スクワット、デッドリフト、スプリットスクワット
- 前額面:ラテラルランジ、ラテラルステップアップ、ラットプルダウン
- 水平面:ベンチプレス、ロウ、胸椎回旋
ベンチプレスとプッシュアップ、ラットプルダウンと懸垂のように、OKCとCKCも組み合わせます。
OKCは手足や器具を動かす運動、CKCは手や足を固定して身体を動かす運動です。
複合関節運動だけでなく、レッグカール、股関節内外旋、ラテラルレイズ、肩関節外旋などの単関節運動も取り入れます。
ベンチプレスは150kgを上限に設定
1回目のプッシュDAYでは、ベンチプレスを次のように進めます。
1週目
140kg×3回
125kg×5回×3セット
2週目
145kg×3回
130kg×4回×4セット
3週目
150kg×2回
135kg×3回×4セット
4週目
125kg×3回
115kg×5回×3セット
筋力的には180kgも扱えますが、この4週間は150kgを上限とします。
もう一方のプッシュDAYでは、腰椎の過伸展と脚の踏ん張りを抑えるため、ラーセンベンチプレスを110~120kgで行います。
高いアーチを再現することよりも、胸椎の伸展可動性を取り戻し、ベンチプレス中は腰椎を過度に反らさず安定させることが目的です。
スクワットとデッドリフトも段階的に戻す
SSBスクワットは、現在行っている130kg×5回×3セットから始めます。
- 1週目:130kg×5回×3セット
- 2週目:135kg×5回×3セット
- 3週目:140kg×5回×3セット
- 4週目:120kg×5回×2セット
5cm高デッドリフトは170kgでは軽すぎるため、190kgから開始します。
- 1週目:190kg×5回×3セット
- 2週目:200kg×4回×4セット
- 3週目:210kg×3回×4セット
- 4週目:170kg×5回×2セット
ただし、予定重量よりも右腰の反応を優先します。翌日まで痛みが残った場合は、重量とセット数を減らします。
強くなるだけでなく、再び動ける身体へ
右肩腱板断裂の手術後は、筋力が戻っていても、痛みや腫れ、可動域、肩甲骨の動きなどを確認しながら負荷を上げる必要があります。
腰についても、単に安静にするのではなく、体幹筋力、持久力、動作コントロールを段階的に鍛えていくことが重要です。
今回の4週間は、自己ベストへ挑戦する期間ではありません。
若い頃と同じ動きを無理に再現するのではなく、長年培ってきた筋力を残しながら、今の身体に合った動きへ作り直す期間です。
胸椎と胸郭の可動性、呼吸、左右差を改善することで、ベンチプレスやスクワット、デッドリフトを、より安定した動作で行える状態を目指します。
今年10月には47歳を迎えます。これからもトレーニングを続けていくために、「できるかどうか」だけではなく、「身体がどう反応したか」を確認しながら進めていきます。
小濱裕司

