炭水化物を再開すると眠くなる?ケトジェニックダイエット後の体内変化とは

ケトジェニックダイエット後、炭水化物を再開したら眠くなる?その原因と対策

ケトジェニックダイエット(以下ケト)を実践された方の中で、再び炭水化物を取り始めた際に「なぜか食後に強烈な眠気がくる」「集中力が落ちる」「だるくなる」といった体調変化を感じた方は多いのではないでしょうか?

これは決して気のせいではなく、身体の代謝・ホルモン・神経系の適応反応として、ごく自然に起こり得る現象です。本記事では、その原因と対策、そして段階的に炭水化物を再導入していくための具体的な食事モデルをご紹介します。

炭水化物再導入で眠気が起こる主な原因

1. インスリン感受性の変化

ケト中は炭水化物の摂取がほぼないため、インスリンの分泌機会が極端に減ります。その状態から炭水化物を摂取すると、身体は過剰にインスリンを分泌しやすくなります。

→ その結果、食後に血糖値が急上昇した後、インスリンによって急激に低下(いわゆる“反応性低血糖”)し、強い眠気や倦怠感が出る場合があります。

2. セロトニン→メラトニンの流れが活発になる

炭水化物を摂ることで、トリプトファンというアミノ酸が脳内に入りやすくなり、セロトニンが増加します。このセロトニンは、夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)へと変換されます。

→ 日中でもリラックスモードになり、眠気を誘発することがあります。

3. 副交感神経の刺激によるリラックス反応

ケト中は脂肪代謝中心のため、交感神経優位で活動的な状態にあります。そこに炭水化物を再導入すると、副交感神経が強く働き、消化・吸収モードにスイッチします。

→ その結果、心拍数が下がり、脳への血流も減少し、眠気が生じやすくなります。

炭水化物再導入フェーズの「段階的食事モデル」

炭水化物の再導入は、急に「元の食事」に戻すのではなく、段階的に少量ずつ、種類を選びながら進めていくことが重要です。

【ステップ1:1日50〜70gの炭水化物】

期間:3〜5日程度 タイミング:トレーニング後 or 朝食のみ 食材例:さつまいも 50g、オートミール 30g、ベリー類

【ステップ2:1日100〜120gに増やす】

期間:さらに5〜7日 タイミング:朝・昼の2回に分けて摂取 食材例:玄米 80〜100g、全粒粉パン、バナナ(半分)

【ステップ3:1日150〜180g程度に戻す】

期間:1〜2週間 タイミング:3食+トレーニング後に分配 食材例:白米、もち麦、オートミール、フルーツなど

※低GI・高食物繊維のものからスタートし、徐々に中GIや白米などを増やしていくのがポイントです。

眠気への対策法

● 食後すぐに座り込まず、軽く体を動かす

散歩やストレッチで血流を促進することで、眠気を和らげる効果が期待できます。

● 炭水化物は「活動前」または「運動前後」に摂取

エネルギーとして消費されやすいため、血糖の急変動が起こりにくくなります。

● 低GIの炭水化物を中心に

血糖値の上昇が緩やかで、眠気を引き起こしにくくなります。

まとめ

ケトジェニックダイエットからの炭水化物再導入は、身体の適応期間が必要です。眠気は「怠け」ではなく、ホルモンや神経、血糖の変化による生理的な反応です。

焦らず、段階的に炭水化物を増やしながら、体の反応を確認していきましょう。適切な食材選びとタイミングによって、パフォーマンスも気分も安定していきます。