
筋肉痛を軽減するのにおすすめのサプリメント【グルタミンの効果と正しい摂り方】
筋トレやスポーツ後に襲ってくる「筋肉痛」。翌日の生活に支障をきたしたり、次のトレーニングのモチベーションが下がったりする原因にもなりますよね。
そんな筋肉痛対策として、トレーニング愛好者やアスリートの間で注目されているサプリメントが「グルタミン」です。
グルタミンとは?体内で最も多いアミノ酸
グルタミン(L-グルタミン)は、筋肉に最も多く含まれるアミノ酸で、体内の遊離アミノ酸の60%以上を占めます。通常は「非必須アミノ酸」に分類されますが、トレーニングやケガ、病気などのストレス状態では需要が急増するため、「条件付き必須アミノ酸」とも呼ばれています(Castell et al., 1996)。
なぜグルタミンが筋肉痛に効くのか?
1. 筋肉分解の抑制と炎症の軽減
トレーニング直後は筋繊維が損傷し、体は修復のためにグルタミンを大量消費します。このとき体内グルタミンが不足すると、筋肉を分解して補おうとするため、回復が遅れたり筋肉痛が長引いたりする可能性があります。グルタミンを補給することで、筋分解を防ぎ、筋肉の回復を促進することが期待されます。また、一部の研究では、炎症性サイトカインの生成を抑制する可能性も報告されています(Ziegler et al., 1998)。
2. 回復のスピードアップ
筋肉痛の本質は「回復の遅れ」によるもの。グルタミンは、損傷した筋繊維の修復に関与するアミノ酸の一つであり、十分な量があることで筋修復がスムーズに進み、筋肉痛の軽減が早まります。
3. 免疫力を維持し、全体的な疲労感を抑える
過度な運動は一時的に免疫力を低下させ、風邪や疲労感の原因になります。グルタミンは免疫細胞のエネルギー源となるため、免疫力維持にも貢献し、筋肉痛だけでなく「なんとなくだるい」「疲れが抜けない」といった状態の予防にも役立ちます。
グルタミンの摂取方法と注意点
推奨摂取量
一般的な目安は、1日あたり5g〜15g程度。
ハードトレーニングをしている場合は、1日20〜30gまで増量することもありますが、1回あたりの摂取量は5〜10g程度に抑え、1日の合計でも40gを超えないようにしましょう。
過剰摂取は下痢や膨満感などの消化器系トラブルにつながる可能性があります。
摂取タイミングとその理由
トレーニング直後:筋分解が進むタイミングであり、グルタミンの吸収が早いため、回復を促進する効果が期待されます。
就寝前:睡眠中は成長ホルモンが分泌され、筋肉の修復が進む時間帯なので、グルタミンを補うことで回復効果を高めます。
起床後や食間:空腹時は栄養素の吸収効率が高く、体内のグルタミン濃度を安定して維持するためにもこのタイミングでの摂取が効果的です。
飲み方のポイント
パウダー状のグルタミンが主流で、水やジュース、プロテインシェイクに混ぜて飲むのが一般的です。熱に弱いため、40℃を超える飲み物と一緒に摂取するのは避けてください。また、グレープフルーツジュースとの併用は、一部の酵素に影響を与える可能性があるため推奨されません。水に溶かした後はできるだけ早めに飲みきるようにしましょう。
副作用と注意点
グルタミンは比較的安全性の高いアミノ酸ですが、過剰に摂取した場合、以下のような副作用が報告されています。
消化器症状:下痢、腹痛、吐き気、膨満感など アレルギー反応:発疹、かゆみ、顔面紅潮 その他:頭痛などの不調
特に、肝機能障害や腎疾患を持っている方、妊娠・授乳中の方は、医師と相談のうえで使用することを推奨します。
まとめ
グルタミンは、筋肉の分解抑制や回復促進、免疫力の維持など、運動後の身体にとって重要な役割を果たします。筋肉痛に直接的に効くというよりは、「筋肉痛からの回復を早める」ことで結果的に痛みを和らげ、次のトレーニングへの準備を整えるサポートになります。
筋トレ初心者からアスリートまで、回復を重視する方にとっては、有効なサプリメントの一つと言えるでしょう。摂取量とタイミングを正しく守りながら、食事・休養・睡眠と組み合わせて活用することで、その効果を最大限に引き出すことができます。
参考文献(代表例)
Castell LM et al. (1996). Does glutamine have a role in reducing infections in athletes? Eur J Appl Physiol. Ziegler TR et al. (1998). Glutamine supplementation in recovery from illness. Nutrition in Clinical Practice. Wernerman J. (2008). Clinical use of glutamine supplementation. JPEN J Parenter Enteral Nutr.