たんぱく質を摂るとお腹が張る?

たんぱく質を摂るとお腹が張る?ガスが溜まる原因と正しい対策とは

はじめに

たんぱく質は筋肉、内臓、酵素、ホルモン、免疫細胞など、生命維持に欠かせない構成要素です。健康維持やボディメイク、パフォーマンス向上のため、たんぱく質を積極的に摂る方も増えてきました。

しかしその一方で、

• 「お腹が張る」

• 「ガスが溜まって苦しい」

• 「便の回数が増えた/逆に便秘気味になった」

など、消化器系の不調を訴えるケースも見受けられます。

この記事では、たんぱく質とガスの関係を科学的に紐解きながら、体重70kgの方を基準にした具体的な摂取量、食事の組み立て、腸内環境を整えるための実践的な対策まで詳しくご紹介します。

なぜ、たんぱく質を摂るとお腹が張るのか?

1. 腸内細菌のバランス変化

たんぱく質は小腸で吸収されますが、一部は消化されずに大腸に到達します。特に動物性たんぱく質が多い場合、悪玉菌のエサとなり、腸内で腐敗を起こしやすくなります。その結果、アンモニア、硫化水素、メタンなどのガスが発生しやすくなり、膨満感や臭いの強いガスの原因になります。

2. 消化酵素の負荷

たんぱく質を一度に大量に摂ると、胃や膵臓で分泌される消化酵素の処理能力を超えることがあります。未消化のたんぱく質が腸内に残ると、これも腸内ガスや便の異常の原因になります。

3. 食物繊維不足

たんぱく質中心の食生活では、野菜・海藻・きのこ類などの食物繊維が不足しがちです。食物繊維が不足すると腸のぜん動運動が弱くなり、便やガスが腸内にとどまりやすくなります。

4. 腸内の水分不足と排出の遅延

運動量が多かったり、代謝が高い方では、水分を多く摂取していても腸内が乾燥気味になることがあります。これにより便が硬くなり、排便やガス排出がスムーズにいかなくなる場合があります。

体重70kgの方に起こりやすい不調とは?

体重70kgの方が目安として必要なたんぱく質量は、トレーニングの有無に応じて以下のように変わります。

• 運動しない人:70g/日

• 軽い筋トレ・運動:105〜120g/日

• 本格的な筋トレ・アスリート:140g以上/日

1日あたり105から140g以上のたんぱく質を毎日摂る場合、たんぱく質の質や摂取の仕方によっては以下のような症状が現れやすくなります。

• お腹が張る(膨満感)

• 臭いの強いおなら

• ガスが出にくい不快感

• 食後の胃もたれ、疲労感

• 便秘または軟便

• 吹き出物、肌荒れ

原因別に見る5つの対策

【1】たんぱく質の「質」を見直す

おすすめの消化にやさしいたんぱく質源:

• 白身魚(タラ・カレイ・サーモンなど)

• 鶏むね肉・鶏ささみ

• 大豆製品(納豆・豆腐・おから)

• プレーンタイプのホエイプロテイン

避けたい食品:

• 加工肉(ハム・ウインナー)

• 脂身の多い肉(牛バラ・豚肩ロース)

• 人工甘味料入りのプロテイン(スクラロース、アセスルファムKなど)

特に腸内トラブルがある方は、動物性ばかりでなく植物性たんぱく質も取り入れ、消化しやすい形で摂ることを意識しましょう。

【2】たんぱく質を1日で分散して摂取する

体重70kgの方で140gのたんぱく質を目標とする場合、一度に大量に摂取するのではなく、4〜5回に分けることが腸への負担軽減になります。

1日の例(70kgの方/目標140g)

時間帯

食事内容

たんぱく質量

朝食

卵2個+納豆+プロテイン

約30g

昼食

鶏むね肉150g+野菜炒め+ご飯

約35g

間食

プロテイン

約20g

夕食

白身魚150g+豆腐+海藻サラダ

約35g

就寝前

プロテイン

約20g

【3】食物繊維を意識的に摂る

ガスが溜まりやすいときに見落とされがちなのが、水溶性食物繊維の不足です。

おすすめの水溶性繊維:

• オクラ

• モロヘイヤ

• 海藻(わかめ・ひじき)

• アボカド

• キウイ

不溶性食物繊維:

• ごぼう

• 大豆

• 玄米

• きのこ

※どちらか一方に偏ると逆に便秘やガスの原因になるため、両方をバランスよく摂ることが大切です。

【4】腸内環境を整える「菌」と「エサ」を摂る

善玉菌(プロバイオティクス):

• 無糖ヨーグルト

• 納豆

• ぬか漬け

• 発酵食品全般

善玉菌のエサ(プレバイオティクス):

• 玉ねぎ

• バナナ

• にんにく

• アスパラガス

• チコリ根(イヌリン)

※サプリメントよりも、できるだけ「食品」で摂ることが腸内環境の安定には効果的です。

【5】排出を助ける生活習慣

たんぱく質を摂取すること自体は悪ではなく、「出せる体」にすることがポイントです。

• 軽い運動(食後のウォーキング)

• 腹式呼吸(横隔膜が腸をマッサージ)

• ガス抜きポーズ(ヨガのパヴァナムクタアーサナ)

水分3リットルでも油断禁物?見直したい3つの視点

体重70kgの方で、3リットルの水分摂取は理想的に思えますが、以下の点も見直してみましょう。

1. 飲む「質」

• 白湯や常温の水がベスト

• スポーツドリンクや清涼飲料は避ける(人工甘味料や糖分が腸に悪影響)

2. 飲む「タイミング」

• 起床後すぐにコップ1杯

• 食前30分前に飲むことで胃腸の働きが活発に

• トレーニング前後の水分補給を忘れずに

3. ミネラル補給

• 天然塩ひとつまみ

• 梅干し

• 無糖の炭酸水(炭酸が腸を刺激する場合もあるが、少量であれば逆に排ガス効果あり)

よくある質問(Q&A)

Q. プロテインを飲むとすぐにガスが出るのですが…?

→プロテインに含まれる**人工甘味料(スクラロースやアセスルファムK)**が原因となる場合があります。まずは「無添加・プレーン」のものに変えてみてください。

Q. 野菜を食べると余計にガスが増える気がします。

→一部の食物繊維(特に不溶性)はガスを発生しやすくします。最初は水溶性食物繊維を中心に取り入れましょう。

Q. たんぱく質は減らしたくないのですが…

→減らす必要はありません。「何を」「いつ」「どのように」摂るかを調整するだけで、ガスや不快感はかなり改善します。

まとめ:たんぱく質と腸の“正しい付き合い方”を

体重70kgの方にとって、1日あたり105〜140gのたんぱく質摂取は珍しくありません。しかし、腸がうまく対応できなければ、どんなに質の高いたんぱく質でも「腸ストレス」になってしまいます。

【今日から実践できるガス対策5カ条】

1. たんぱく質の「種類」を見直す

2. 1日3〜5回に分けて摂取する

3. 水溶性+不溶性のバランスの良い食物繊維

4. 善玉菌とプレバイオティクスを習慣に

5. 軽い運動と呼吸で“出せる腸”をつくる

おわりに

お腹のガスや張りは「食事の質」や「腸内の声」を教えてくれるサインでもあります。適切なたんぱく質の摂り方を意識することで、パフォーマンスや見た目だけでなく、体の内側からも健康と快適さが得られます。

腸と向き合い、快適なたんぱく質ライフを手に入れましょう!