ボディメイクに必要な体重調整法

【運動・食事の両面から解説】

ボディメイクの成功には、「体重を落とす」だけでなく、「筋肉を維持または増やしながら脂肪を減らす」ことが重要です。そのためには、食事と運動の両面から科学的かつ継続可能な方法を取り入れることがカギとなります。

1. 目的に応じた体重調整の考え方

ボディメイクの目的が「脂肪を落とす」ことなのか、「筋肉を増やす」ことなのかによって、調整の方向性が異なります。

減量期(カット):脂肪を落としつつ筋肉量をキープすることが目標です。摂取カロリーは緩やかに抑え、筋トレは強度を落とさないように意識します。

増量期(バルク):筋肉量を増やしつつ脂肪増加を最小限に抑えることがポイントです。カロリーは軽くオーバー気味にし、高タンパク・中炭水化物・中脂質を意識しましょう。

2. 食事管理のポイント

● タンパク質・脂質・炭水化物のバランス

ボディメイクにおいて、特に重要なのはタンパク質の摂取量です。

タンパク質は 体重×2.0〜2.5g/日 を目安にします。 例えば、体重70kgの方なら、1日あたり140〜175gが目安です。

脂質は 総カロリーの20〜25%程度 に設定。

残りのカロリーを炭水化物で補います。

● 食事のタイミングと回数

1日4〜6食に分けて摂取することで、血糖値の安定と筋肉の分解予防に役立ちます。 特に重要なのが、トレーニング前後の食事。

トレーニング前は軽めの糖質とタンパク質、トレーニング後は素早く吸収されるタンパク質(例:ホエイプロテイン)と中GI程度の糖質を摂ると回復がスムーズです。

就寝前にはソイプロテインやカゼインプロテイン、ゆで卵、豆腐など、吸収が穏やかなタンパク質を選ぶと効果的です。

● 減量時の工夫

カロリーは急に大幅カットせず、1日あたり300〜500kcal以内の削減が基本です。 空腹感が強い時は、海藻類、きのこ類、野菜スープなどを積極的に使ってボリューム感を出しましょう。

【チートデイ】ではなく、炭水化物のみを一時的に増やす【リフィード】を活用すると、代謝を維持しつつ脂肪の蓄積を抑えられます。

3. トレーニングの考え方

● 減量中の筋トレは強度を落とさない

減量中でも筋肉量を維持するためには、重量を落とさずにトレーニングを継続することが重要です。ボリューム(セット数や回数)を多少減らしても、重量の維持=筋出力の維持を最優先にします。

● 有酸素運動の使い方

減量期には、筋トレの妨げにならない範囲で、週2〜4回、1回30分前後の低〜中強度有酸素を追加するのが効果的です。 特に、空腹時のウォーキングやバイクなどのLISS(低強度持続型有酸素運動)は、脂肪燃焼効率が高く、筋肉へのダメージも少ないためおすすめです。

● NEAT(非運動性活動熱産生)の意識

日常生活での活動量(歩数、階段の昇降、立位時間など)を増やすことで、基礎代謝の低下を防げます。運動以外での消費カロリーも積極的に稼ぎましょう。

4. よくある落とし穴とその対策

急激なカロリー制限 → 筋分解やリバウンドを招くため、漸進的に減らすのが基本です。

有酸素のやりすぎ → 筋トレの回復が妨げられ、筋量が落ちるリスクが高まります。

チートデイの乱用 → 気分的には楽になりますが、脂肪の再蓄積を促す原因にもなります。

体重の数字だけを追う → 筋肉は水分を多く含むため、見た目や筋力の推移を評価軸に加えるべきです。

5. 実践例:体重70kgの男性、2ヶ月で3kg減量したいケース

開始時点での必要カロリー:2,500kcal(維持カロリー)

調整後:2,100〜2,200kcalで減量開始

タンパク質:体重×2.3g = 160g前後

脂質:50〜55g程度

炭水化物:210g前後(残りのカロリーで調整)

トレーニング:週4回の筋トレ(高重量維持)、週2〜3回のLISS