ランニングマシンでのトレーニングというと、「単調」「きつい」「ただ走るだけ」という印象を持たれがちですが、実際はやり方と環境設定によって、効果も体感も大きく変わります。特に見落とされやすいのが 音楽のテンポ(BPM)と走行リズムの関係 です。
運動と音楽に関するスポーツ科学の研究では、音楽を聴きながら運動することで、主観的運動強度(きつさの感覚)が下がり、持続時間が延びる傾向が報告されています。理由は、音楽が注意を疲労感からそらし、リズム刺激によって動作の安定を助けるためです。つまり音楽は気分の問題だけでなく、運動効率にも関係します。
研究で標準的によく使われるテンポ帯は 120〜140BPM です。この範囲は歩行から軽いジョギングのリズムに合わせやすく、安定した有酸素運動に適しています。
しかし、実際のランニングになると事情が少し変わります。効率的なランニングピッチ(1分間の歩数)は 160〜180歩前後 に収まることが多く、このピッチに近いテンポの音楽は、脚の回転リズムと同期しやすくなります。外部のリズムに身体の動きが引き込まれる現象は「リズム同期」と呼ばれ、ペース維持やフォーム安定に役立ちます。
強度別に整理すると次のようになります。
・軽めのウォーキング〜ジョグ:120〜140BPM
・通常のランニング:130〜160BPM
・HIIT・テンポ走・傾斜走:160〜180BPM
つまり、どのテンポが正しいかではなく、運動強度に対してどのテンポが合うか がポイントです。
テンポが速く、ビートが明確な曲は、スピード維持が必要な場面で特に効果を発揮します。例えば Ado の「新時代」は疾走感と音の圧力があり、高強度のランニングと相性が良いタイプの楽曲です。また少し意外に思われるかもしれませんが、ファミコンの「天地を喰らうⅡ」のラスボス戦BGMのような、緊張感のあるループ型のゲーム音楽も、高強度インターバル時の集中維持に向いています。テンポが安定し、反復構造が明確な音源は、運動リズムを崩しにくいという特徴があります。
今日もアップテンポのランニング用ミックスを聴きながら、テクノジムのスキルランで、HIITセッション(傾斜あり・アドバンスコース)を実施しました。高低差とスピード変化のあるプログラムですが、テンポの速い音楽にリズムを支えられ、ペースを落とさず最後まで完走できました。同じ設定でも、音楽が違うと体感が変わることを改めて実感します。
ランニング中の音楽は、単なるBGMではありません。テンポが合った曲は、ペースメーカーになり、集中力を支え、最後の粘りを引き出してくれます。距離や速度だけでなく、「どんな音楽で走るか」もトレーニングの質を左右する要素です。
ランニングマシンで走るときは、ぜひテンポとリズムを意識して曲を選んでみてください。走りやすさも、完走率も、きっと変わってきます。
小濱裕司

