代謝が落ちた原因、実は“ホルモン”だった!―甲状腺と筋トレでつくる燃える身体―

基礎代謝を決める最大のカギは“甲状腺ホルモン”だった

~代謝を高める生活とトレーニングの実践法~

人が一日に消費するエネルギーのうち、「じっとしていても使われるエネルギー」を**基礎代謝量(BMR:Basal Metabolic Rate)**といいます。

これは、呼吸・心拍・体温維持・臓器の活動など、私たちが意識せずとも行われている生命維持活動のために使われるエネルギーです。

実はこの基礎代謝が、一日の総消費カロリーの約60〜70%を占めています。

🔬「基礎代謝量」を決めるものは何か?

多くの人が「筋肉量」や「年齢」、「活動量」などを思い浮かべるでしょう。

確かにそれらも影響しますが、**最も強く基礎代謝量を左右するのは『甲状腺ホルモンの分泌量』**です。

🧠 甲状腺ホルモンとは?

甲状腺は首の前側にある小さな臓器で、そこから分泌されるホルモン(T3=トリヨードチロニン、T4=サイロキシン)が、全身の細胞に作用します。

これらは「体の代謝エンジン」をコントロールする存在で、細胞の中にあるミトコンドリアを活性化させ、エネルギー生産を促進します。

つまり、甲状腺ホルモンの分泌が活発なときは体がよく燃え、逆に分泌が低下すると体のエネルギー消費も落ち込むということです。

⚖️ 分泌が乱れるとどうなる?

・甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)  ホルモンが過剰に分泌され、代謝が過剰に上がるため、体重減少・発汗・動悸などが起こります。

・甲状腺機能低下症(橋本病など)  ホルモンが不足して代謝が落ち、疲労感・冷え・むくみ・体重増加などの症状が現れます。

このように、甲状腺ホルモンは「太りやすい・痩せやすい」だけでなく、体調全体に深く関わっています。

🏋️‍♀️ トレーニングで代謝を底上げする

トレーニングは、甲状腺ホルモンの働きをサポートする大きな武器になります。

筋肉は「代謝を生み出す器官」であり、筋肉量が増えれば、細胞がエネルギーを使う機会も増えます。

特に効果的なのは以下のようなアプローチです。

1. 大筋群トレーニングを優先する

スクワット・デッドリフト・ベンチプレスなど、体の大きな筋肉を使う種目はエネルギー消費が大きく、基礎代謝向上に直結します。

2. インターバルを短めに設定

息が上がる程度の短め休憩(30〜90秒)で次のセットに入ることで、心拍数が上がり、トレーニング中の総代謝量が高まります。

3. トレーニング頻度を維持する

週1〜2回では筋肉の代謝活性が下がりやすいため、週3〜4回を目安に、継続的に刺激を与えることが理想です。

4. 有酸素運動よりも「筋トレ+NEAT」

基礎代謝を上げたい場合、ジョギングよりも筋トレが有効です。

さらに、階段を使う・歩く・立って作業するなど、日常の非運動性活動(NEAT:Non Exercise Activity Thermogenesis)を増やすことも重要です。

🍽️ 基礎代謝を上げるための生活習慣

1. タンパク質をしっかり摂る

筋肉を維持・増加させるための材料です。1日に体重1kgあたり1.6〜2.0gを目安に、3食に分けて摂取しましょう。

2. 睡眠の質を高める

睡眠中は成長ホルモンが分泌され、代謝を支えるホルモンバランスが整います。

就寝1〜2時間前のスマホ・カフェイン・強い光を避けるだけでも、睡眠の質が大きく向上します。

3. 体温を下げない生活を意識する

冷えは甲状腺ホルモンの働きを妨げます。湯船につかる・軽く運動をするなど、体を温める習慣をつけましょう。

4. 過度な食事制限をしない

摂取カロリーを極端に減らすと、体が「省エネモード」になり、基礎代謝そのものが下がってしまいます。

“燃やすためには食べる”という意識を持つことが大切です。

5. ストレスを溜めない

慢性的なストレスはコルチゾールというホルモンを増加させ、代謝を抑制します。

トレーニングや趣味を通じてリラックスする時間を持ちましょう。

🔁 まとめ

基礎代謝量を最も強く規定するのは「甲状腺ホルモン」。

このホルモンが体のエネルギー生産をコントロールし、代謝スピードを決めています。

筋トレで筋肉を増やし、バランスの取れた食事・睡眠・体温管理を整えることで、甲状腺ホルモンも安定し、“燃える身体”=代謝の高い身体をつくることができます。