
日本人が弱い「大胸筋上部」を鍛える!効果的なトレーニング対策とは?
筋トレをしている方なら一度は「大胸筋の上部がなかなか発達しない」と感じたことがあるのではないでしょうか。特に日本人は骨格的な影響もあり、大胸筋の上部(鎖骨部)が発達しづらい傾向があると言われています。
ベンチプレスやチェストプレスをしっかりやっているのに、「胸の上が平ら」「鎖骨が浮いて見える」「胸全体が垂れて見える」と感じる方は、もしかすると“大胸筋上部”への刺激が不足している可能性があります。
今回は、日本人に多い大胸筋上部の弱点と、ハンマーストレングスなどのマシンも活用した具体的なトレーニング対策についてご紹介します。
■ なぜ日本人は大胸筋上部が弱くなりやすいのか?
大胸筋は「鎖骨部(上部)」「胸肋部(中部)」「腹部(下部)」の3つに分けられます。このうち、上部は腕を斜め上方向に押し出す動作で主に働くため、フラットなベンチプレスや腕立て伏せなどでは刺激が入りにくく、トレーニングで意識しない限り発達しづらいのが特徴です。
また、日本人に多い骨格の特徴として、
鎖骨が短く、肩幅が狭い 肩甲骨が前に巻き込みやすく、猫背傾向 上腕骨の角度が胸筋上部の収縮を妨げやすい
といった点があり、欧米人と比べると大胸筋上部にとって不利な骨格構造を持っているケースが多いのです。これが、大胸筋の下部ばかり発達してしまい、上部が薄く見えてしまう原因の一つです。
■ 大胸筋上部を発達させるためのトレーニング戦略
① インクライン系のプレス種目を中心に組み込む
大胸筋上部をしっかり狙うなら、最も重要なのはベンチの角度です。
筋電図(EMG)研究によると、15〜30度のインクラインベンチが大胸筋上部の筋活動を最も高めるとされています。これより角度が急になると、三角筋前部の関与が強くなり、胸に効かせづらくなってしまいます。
おすすめ種目は以下の通りです。
インクラインバーベルベンチプレス → 高重量を扱える基本種目。肩がすくまないように胸を張りすぎず、軌道をコントロールすることが大切。
インクラインダンベルプレス → 可動域を広く取りやすく、左右差の調整にも効果的。胸上部を意識して斜め上に押し出す。
スミスマシン・インクラインプレス → 安定性が高いため、フォームに集中しやすく中上級者にも人気。軌道を固定できる分、収縮感を意識しやすい。
② ハンマーストレングスなどのマシンを活用
マシンは軌道が安定しているため、フォームがブレにくく、筋肉に意識を集中しやすいというメリットがあります。
特にハンマーストレングスのマシンは斜め上方向へのプレス動作が設計されており、大胸筋上部の刺激に最適です。
ハンマーストレングス・インクラインチェストプレス → 斜め上に押し出す軌道で、鎖骨部にダイレクトな刺激。シートの高さを調整して、肘の角度が胸の高さに来るようにすると効かせやすくなります。
ライフフィットネス製のインクラインチェストプレス → インクライン固定型のマシン。動作の中で肩がすくまないように注意することで、より大胸筋上部に集中できます。
ケーブル・インクラインクロスオーバー → 上から斜め下へ引くことで、上部に強い収縮を与えられる。フィニッシュポジションで鎖骨を締めるような動きを意識すると◎。
③ フライ系やストレッチ系種目で補完
上部をより立体的に仕上げるには、プレス種目に加えてストレッチ系や収縮系の種目も取り入れると効果的です。
インクラインダンベルフライ → 肘をやや曲げたまま広く開き、胸の上部が最大限ストレッチされるポジションを確保。
ケーブル・インクラインフライ → ケーブルの張力を利用し、負荷が抜けないようにする。トップで胸上部をしっかり締めるイメージで。
■ トレーニングの組み立て例(週2回の胸トレ)
大胸筋全体のバランスを整えるには、上部だけでなく中部・下部とのバランスも大切です。以下のように分割して行うと、効率的に大胸筋上部を強化できます。
Day 1:中部〜下部中心
・フラットベンチプレス ・ディップス ・ケーブルクロスオーバー(下部狙い)
Day 2:上部特化
・インクラインバーベルベンチ(15〜30度) ・ハンマーストレングス・インクラインチェスト ・インクラインダンベルフライ ・ケーブルインクラインクロスオーバー
セット数や重量設定は、目的(筋肥大/神経系/パンプ)に応じて調整してください。
■ まとめ
日本人は骨格的な理由により、大胸筋上部が発達しづらい傾向にある。 上部を効果的に鍛えるには、15〜30度のインクライン角度が最も適している。 ハンマーストレングスなどのマシンを活用すれば、安定した軌道で上部に集中できる。 プレス+フライ系を組み合わせ、週2回程度の頻度で刺激を与えるのが効果的。
胸上部が発達すると、Tシャツやスーツを着たときの印象が格段に変わります。立体感のある胸板を手に入れるために、今こそ「上部特化」の胸トレを取り入れてみてください。