
ダイエットと筋肉づくり、どちらも簡単ではありません。しかし、科学的に見ると「痩せるよりも筋肉を増やす方が難しい」と結論づける研究が数多く存在します。
■ なぜ筋肉を増やすのは痩せるより難しいのか?
1. カロリー収支のシンプルさ vs 筋タンパク質合成の複雑さ
痩せる=消費カロリー > 摂取カロリー(シンプルな引き算) 筋肉を増やす=十分な栄養+適切な負荷+回復+ホルモン+遺伝的要因(複雑な掛け算)
特に筋タンパク質合成(MPS)には上限があり、1回のトレーニングや1回の食事で合成される筋肉の量には限界があります(Moore et al., 2009)。
■ 男性(20〜40代)が筋肉を増やすための科学的アプローチ
特徴
テストステロンが高く、筋肥大に適した年代 回復力・神経系の発達がピーク
方法
【トレーニング分割法】
近年のレビュー(Schoenfeld et al., 2016)によると、筋群ごとの週あたりトレーニング回数が2回以上になるよう設計された「2分割(上半身/下半身)」や「3分割(プッシュ/プル/レッグ)」の方が、伝統的な4分割よりも効果的とされています。
週4回なら:上半身/下半身の2分割×2ローテーション 週6回なら:プッシュ/プル/レッグの3分割×2ローテーション 各部位は週2回以上の刺激が基本 種目はコンパウンド種目中心+補助種目
【栄養・回復】
タンパク質:体重×2g以上/日 糖質も十分に確保(MPSの促進と回復に必須) 睡眠:7〜8時間 過度な疲労・ストレスはテストステロン低下の要因
■ 女性が筋肉をつけるための科学的アプローチ
特徴
筋肥大ホルモン(テストステロン)が少ないが、筋力向上や引き締め効果は大きい 「ムキムキになりたくない」という不安を持ちがち
方法
【トレーニング】
週2〜3回の全身 or 2分割(上半身/下半身) おすすめ種目: 下半身:ヒップスラスト、RDL、ランジ 上半身:ラットプルダウン、ダンベルベンチ、サイドレイズ 中〜高強度×中回数(8〜15回)をベース 月経周期を考慮し、排卵後の高温期は強度を落とす
【栄養】
タンパク質:体重×1.2〜1.6g/日 鉄・亜鉛・ビタミンDなど女性に不足しやすい栄養素も意識
■ 中高年(50代以上)が筋肉をつけるための科学的アプローチ
特徴
加齢による筋タンパク合成能力の低下 ホルモンの減少、慢性的な疲労、関節不安など多くの制約
方法
【トレーニング】
週2〜3回の全身 or 上下半身2分割 基本は低〜中重量×中回数(10〜15回)+フォーム重視 動作の安定性と可動域を最優先 バランストレーニングや歩行訓練も加える
研究によると、70代・80代でも筋トレにより筋量と筋力の向上が可能(Fiatarone et al., 1994)。また、「1回のトレーニングで全身に刺激を与える」ことが中高年には特に効果的(Stewart et al., 2005)。
【栄養・回復】
タンパク質:体重×1.2g以上/日+ロイシンを含む食品(卵、大豆、乳製品) ビタミンD、カルシウムも補う(骨と筋肉の機能向上に関与) 睡眠・ストレス管理も意識
■ 結論
筋肉を増やすには、性別・年齢・ライフスタイルに合わせた設計が不可欠です。そして、現在のエビデンスでは、「週3〜4回のトレーニングでも各部位を週2回以上刺激する構成(2分割や3分割)がより効果的」と言われています。
「がむしゃらにやる」ではなく、「狙って増やす」トレーニングが重要です。