40代から静かに始まる「動けなくなる体」
― 筋トレをしていても安心できなかった、私自身の実感から ―
40代を過ぎると、こんな感覚を持つ方が増えてきます。
筋トレは続けている。
ベンチプレスやスクワットの重量も、若い頃よりむしろ伸びている。
それなのに、
• 坂道ダッシュで脚が前に出ない
• 階段を駆け上がるともたつく
• とっさの動きがワンテンポ遅れる
これは気のせいではありません。
筋力とは別の能力が、40代以降に先行して低下し始めている可能性があります。
40代から最初に衰えやすいのは「筋力」ではない
一般的に「衰え=筋力低下」と考えられがちですが、
日常動作や転倒リスクに直結するのは、筋パワーです。
筋パワーとは、
どれだけ速く力を出せるか
という能力。
• 階段を一気に上がる
• つまずいた瞬間に足が出る
• 急に方向を変える
こうした動作は、
ゆっくり力を出す筋力ではなく、
瞬間的に力を立ち上げる能力によって支えられています。
40代以降、この部分が少しずつ低下していきます。
なぜ40代から「動き」に差が出るのか
加齢による変化は、単なる筋力低下だけではありません。
• 速く収縮できる筋線維(速筋)の減少
• 神経から筋への指令速度の低下
• 力を一気に動員する能力の低下
これらが重なり、
「力はあるのに、動きが遅い体」
になっていきます。
結果として、
重いものは持てるのに、
俊敏な動作ができなくなる、という現象が起こります。
ウォーキングだけでは補えない理由
40代以降、健康のために歩く習慣を持つ方は多いと思います。
ウォーキング自体は非常に良い運動です。
ただし、
低強度・一定ペースの運動だけでは、筋パワーの維持は難しい
ことも分かっています。
筋パワーに関わる速筋は、
• 速く
• 強く
使われなければ、少しずつ働きを失っていきます。
「よく歩いているから大丈夫」
そう思っていても、動作の速さは別問題なのです。
「筋トレをしている=動ける体」ではない
これは、まさに私自身の話です
この話は、誰かを否定したいわけではありません。
筋トレを長く続けてきた私自身が、実際に感じたことです。
筋力トレーニングは継続している。
扱える重量も落ちていない。
それでも、
• 階段の駆け上がりでもたつく
• 急な動き出しが遅れる
そんな感覚が、40代に入ってから確実に出てきました。
「筋トレをしているから大丈夫」
そう思っていたのに、動きは別物だった。
筋力があることと、動けることは同じではない。
この事実を、一番実感しているのは、他でもない自分自身です。
では、40代以降は何をすればいいのか
今日から意識したい超実践ポイント
40代以降に必要なのは、
無理に追い込むトレーニングではありません。
ポイントは一つ。
「速く力を出す動作」を、意図的に体に与えること
実践① 方向転換を伴う素早い動き
(反復横跳び)
反復横跳びは、単なる体力測定ではありません。
• 素早い方向転換
• 地面を押し返す反発力
• 一瞬で体を切り返す能力
これらを同時に使う、
筋パワーと神経系を強く刺激する動作です。
40代以降、
「とっさの一歩」が出なくなるのを防ぐうえで、非常に理にかなった動きです。
実践② スキルランでのスレッドプッシュ
スキルランで行うスレッドプッシュは、
• 大きな力を
• 短時間で
• 連続して発揮する
という点で、筋パワーを直接的に高める刺激になります。
特に、
• 脚で地面を強く押す
• 体幹を安定させたまま前進する
この動作は、
日常生活やスポーツに直結する「使える力」を鍛える形です。
実践③ スキルミルでの短距離ダッシュ
スキルミルを使った短距離ダッシュは、
• 自分の出力がそのままスピードになる
• 誤魔化しがきかない
• 初動の力発揮が重要
という特徴があります。
これはまさに、
筋力 × スピード = 筋パワー
を体感しながら鍛えられるトレーニングです。
長距離を走る必要はありません。
数秒間のダッシュを、集中して行うだけで十分です。
実践④ 高強度インターバルトレーニング(HIIT)
高強度インターバルトレーニング(HIIT)も、
40代以降に低下しやすい筋パワーを刺激する有効な手段の一つです。
HIITの本質は、
長時間動き続けることではありません。
• 短時間
• 高出力
• 回復を挟みながら繰り返す
この構造によって、
• 速く力を出す能力
• 心肺機能と筋出力の連動
• 疲労下でも動きを維持する力
を同時に使う点に意味があります。
特に、
• ローイングエルゴメーターを使った高出力インターバル
• スキーエルゴを使った全身連動の高速動作
• スキルミルでの短時間ダッシュ
• スレッドプッシュをインターバル形式で行う
といった方法は、
全身を使いながら瞬間的な出力を引き出すという点で、
40代以降の筋パワー維持・向上に非常に相性が良いトレーニングです。
これらは、
• 脚だけでなく
• 体幹
• 上半身と下半身の連動
を同時に使うため、
「動ける体」を構成する要素をまとめて刺激できるのが大きな特徴です。
ただし重要なのは、
「限界まで追い込むこと」ではありません。
40代以降では、
• フォームが崩れるほど行わない
• 動作スピードが明らかに落ちる前に止める
• 回復を優先し、疲労を翌日に残さない
この前提を守ることで、
HIITは安全かつ効果的に筋パワーを刺激する方法になります。
40代は「衰え始める年代」ではなく「分かれ道」
40代は、もう遅い年代ではありません。
• 筋力だけを守るか
• 動ける体まで守るか
この分かれ道に立っている年代です。
階段を軽く上がり、
とっさの動きに反応できる体でいるために。
筋力に加えて、筋パワーを意識すること。
反復横跳び、スレッドプッシュ、短距離ダッシュ、HIIT。
これらはすべて、
40代以降にこそ必要な「動ける体」を支える能力を高める手段です。

