デッドリフトの本質はヒップヒンジにある

2月25日(水)は

デッドリフト190kg × 3回 × 3セット。

これまでは10回設定で行っていましたが、肩への負担を考慮し、しばらくは3回に変更しています。狙いは神経系への刺激と動作の精度向上です。

10回は呼吸と代謝との戦い。

3回は出力と制御の勝負。

同じ190kgでも、身体への問いかけはまったく異なります。

3回なら余裕があると判断し、今回は久しぶりに床からのフルレンジで実施しました。

実際の動きはこちら

動画では、

・スタートの張り

・股関節の伸展タイミング

・立ち切りの姿勢

・バーの軌道

を確認できます。

床から引くことは絶対条件か

結論は「必須ではない」。

ただし、股関節主導の動きは欠かせません。

ヒップヒンジとは、背骨の配列を保ったまま股関節を折り畳む動作。

腰ではなく、股関節で力を受け止める仕組みです。

人の基本動作は、

・押す

・引く

・しゃがむ

・回旋

・移動する

などに分類できますが、その中心にあるのがヒップヒンジです。

デッドリフトの価値は「床から引く」ことではなく、

正しい力の流れで重力を扱うことにあります。

デッドリフトの強み

この種目が優れている理由は明確です。

・殿筋

・ハムストリングス

・脊柱起立筋

背面の大筋群を同時に動員できます。

ここは身体のエンジン部。

ダッシュ、ジャンプ、踏ん張り、コンタクト。

強い動きの源はすべて後ろ側から生まれます。

高重量を扱いやすいことも利点です。

強い機械的張力が全身に加わり、筋力にも筋量にも直結します。

スクワットとは役割が違う

「スクワットをしているから十分」という考えは正確ではありません。

スクワット

→ 前もも優位

デッドリフト

→ 裏もも・臀部優位

前後のバランスが揃って初めて安定した出力が生まれます。

腰を痛める原因はどこにあるのか

床からのスタートでトラブルが起きやすい人には特徴があります。

・股関節の可動域が狭い

・前屈が苦手

・上半身が長く腕が短い

・腹圧がうまく作れない

問題は床ではありません。

開始姿勢の質です。

形が整っていなければ、負荷は逃げ場を失い腰に集中します。

腰を守りながら強くなるために

① 先に形を整える

動き出す前に勝負は決まります。

・骨盤は軽く前傾

・体重は股関節に

・背骨はニュートラル

・腹圧を先に作る

ベルトは補助。主役は体幹内部の圧です。

視線は2〜3m前の床。

首の動きは背骨全体に影響します。

② 背中を「使いすぎない」

デッドリフトは背中に効かせる種目ではありません。

肩甲骨を無理に寄せるとテンションが途切れやすい。

やることはこれだけ。

・脇を締める

・バーを体に近づける

・広背筋に張りを作る

背中は動かす部位ではなく、力を伝える支柱です。

③ 握り込みすぎない

強く握る

→ 肘が曲がる

→ 肩がすくむ

→ 体幹が緩む

この連鎖を防ぎます。

腕は吊り下げるだけ。

出力源は脚と臀部です。

④ 股関節で折る

腰で曲がらない。

・肋骨と骨盤の距離を保つ

・お尻を後方へ

・バーは身体の近くを通す

勢いで引き抜かない。

制御された動作こそが積み上がります。

⑤ 引くのではなく押す

意識は「持ち上げる」ではなく「床を押す」。

足首・膝・股関節を同時に伸ばす。

トリプルエクステンションが出力の鍵です。

⑥ 毎回リセット

反動は使いません。

一度止め、形を整え直す。

回数より質。

精度の高い1回を積み重ねます。

床から引けない場合の選択肢

ルーマニアンデッドリフト

→ 床に触れず、可動域を制御できる

ダンベルバリエーション

→ 柔軟性に合わせて軌道を調整できる

重要なのは種目名ではなく、

ヒップヒンジが成立しているかどうかです。

回数を変えた理由

10回は筋持久力と代謝刺激。

3回は神経系と最大出力。

今回は肩への配慮もあり、低回数で質を高める選択をしました。

190kg × 3。

余裕があったからこそ、

動作の細部まで確認できました。

この種目の本質

デッドリフトは単なる高重量種目ではありません。

重力を受け止め、

股関節で処理し、

全身で統合する能力を養うトレーニングです。

床からかどうかは二次的な問題。

・股関節で支えられているか

・体幹が安定しているか

・軌道が乱れていないか

ここが判断基準です。

強さとは無理を通すことではない。

同じ形を何度でも再現できることです。

重さは結果。

精度こそが土台。

重力との交渉が上手くなるほど、

身体は確実に強くなります。