腹筋を割りたい、腹筋を強くしたい。
この相談はパーソナルトレーナーとして非常によく受けます。しかし、インターネットやYouTubeには「最強の腹筋種目」「1週間でシックスパック」「1日5分で割れる腹筋」など、刺激的な情報が溢れています。
結論から言えば、腹筋のトレーニングはそこまで複雑ではありません。科学的な研究を見ても、腹筋を発達させる原理は他の筋肉と同じです。重要なのは魔法の種目ではなく、基本的なトレーニングの原則です。
腹筋の基本構造
いわゆる「シックスパック」と呼ばれる筋肉は腹直筋です。
腹直筋は胸骨と肋骨から恥骨まで縦に走る筋肉で、途中に腱画と呼ばれる仕切りがあることで6つに割れて見えます。
腹筋周辺には他にも次のような筋肉があります。
・腹直筋
・外腹斜筋
・内腹斜筋
・腹横筋
腹直筋の主な役割は「脊柱屈曲」、つまり背骨を丸める動作です。
腹斜筋は体幹の回旋や側屈、腹横筋は体幹の安定に大きく関わります。
よく「腹筋上部」「腹筋下部」という言い方がされますが、解剖学的には腹直筋は1つの筋肉です。ただし、動作によって筋肉の活動の偏りがあることは研究でも確認されています。
腹筋が見える条件
腹筋を割るためには、腹筋のトレーニングだけでは不十分です。
腹筋が見えるかどうかは次の2つで決まります。
・腹筋の厚み
・体脂肪率
腹筋が見える体脂肪率の目安は次の通りです。
男性
体脂肪率10〜12%
女性
体脂肪率18〜20%
つまり腹筋を割るためには、トレーニングと同時に体脂肪を落とす必要があります。腹筋運動だけでお腹の脂肪を落とすことはできません。
科学的に重要な腹筋トレーニングの3条件
筋肥大研究では、筋肉を発達させるための重要な要素は主に次の3つとされています。
①十分な負荷
②大きな可動域
③継続したトレーニング
腹筋も他の筋肉と同じです。
軽い運動を何百回も繰り返すより、適切な負荷でトレーニングする方が効果的です。
科学的に有効とされる腹筋トレーニング
数多くの腹筋種目がありますが、基本的には次の3つのパターンを押さえておけば十分です。
①クランチ系(脊柱屈曲)
代表種目
・クランチ
・デクラインクランチ
・ケーブルクランチ
・バランスボールクランチ
この種目は腹直筋の基本動作である「背中を丸める動き」を鍛えます。
ポイントは
・顎を引く
・背中を丸める
・腰を反らない
多くの人は体を起こそうとしてしまいますが、重要なのは背骨を丸める動作です。
②レッグレイズ系(骨盤後傾)
代表種目
・レッグレイズ
・ハンギングレッグレイズ
・リバースクランチ
この種目は腹筋の下部の活動が強くなる傾向があります。
ただし脚を上げる動作の主役は腸腰筋です。
腹筋を使うためには次の動作が必要です。
脚を上げる
↓
骨盤を丸める
この骨盤後傾の動きが腹筋トレーニングのポイントになります。
③伸張刺激系
代表種目
・アブローラー
・ドラゴンフラッグ
最近の研究では「筋肉が伸びた状態で張力がかかる運動」が筋肥大を促す可能性が示されています。
アブローラーは
・大きな可動域
・強い張力
・伸張刺激
が同時に得られる優秀な種目です。
ただし難易度が高いため、初心者は膝コロから始めるのが安全です。
?
プランクは非常に人気のある種目です。しかし筋肥大の観点では、腹直筋の刺激はそれほど高くありません。
プランクは
・腹横筋
・体幹安定筋
などのトレーニングとしては優れていますが、腹筋を大きくする目的ではクランチ系の方が効率的です。
腹筋トレーニングの頻度
腹筋は回復の早い筋肉なので、週2〜3回のトレーニングが効果的です。
目安としては
3〜5セット
10〜15回
限界に近い強度
この程度のボリュームで十分です。
毎日100回以上の腹筋を行う必要はありません。
腹筋トレーニングの実践例
初心者向けの基本メニュー
クランチ
12回 × 3セット
レッグレイズ
10回 × 3セット
膝つきアブローラー
8〜10回 × 3セット
週2〜3回の頻度で継続することで、腹筋の発達が期待できます。
まとめ
腹筋トレーニングには様々な情報がありますが、科学的に見ると原理はとてもシンプルです。
腹筋を発達させるために重要なのは
・十分な負荷
・大きな可動域
・継続
この3つです。
そして腹筋を割るためには
・トレーニング
・体脂肪管理
この両方が必要になります。
最強の腹筋種目を探すよりも、自分に合った種目を見つけて継続することが、結果的には一番の近道になります。
筋肉は流行のトレーニング法を理解しているわけではありません。
ただ負荷に対して適応するだけです。
正しいフォームで、適切な負荷をかけて、継続する。
それが腹筋を発達させる最も確実な方法です。

