脂肪肝

脂肪肝とは?その原因と対策について

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積し、肝機能に障害をもたらす疾患です。日本人の約3人に1人が脂肪肝を患っていると言われており、非常に一般的な問題です。

肝臓の役割と「沈黙の臓器」

肝臓は人体で最も大きな臓器であり、重要な役割を持っています。以下の3つの主な機能があります。

  1. 栄養素の代謝: 炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を行い、エネルギーを生成します。
  2. 胆汁の生成: 脂肪の消化を助けるための胆汁を生成します。
  3. 有害物質の解毒・分解: 体内の有害物質を分解し、解毒します。

肝臓は病気になっても自覚症状が出にくいため、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。

脂肪肝の診断

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が限度を超えて蓄積した状態です。この状態になると、太りやすく痩せにくい体質になる可能性があります。肝機能検査でALT(GPT)とAST(GOT)の数値が基準値を超えると脂肪肝の可能性があります。特に、ALT(GPT)がAST(GOT)より高い場合は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の可能性があり、逆にAST(GOT)やγ-GTPが高い場合はアルコール性脂肪肝の可能性があります。

脂肪肝の種類

脂肪肝は以下の2つのタイプに分けられます。

  1. アルコール性脂肪肝: 名前の通り、アルコールの過剰摂取が原因で発生します。軽症の場合、アルコール摂取を控えることで改善が見込めます。
  2. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD): アルコールが原因でない脂肪肝で、お菓子や清涼飲料水など糖質の過剰摂取や肥満が原因となります。アルコールを飲まない人でも発症し、肥満や糖尿病などを伴うことが多いです。

NAFLDにはさらに2つのタイプがあります。

  • 単純性脂肪肝: 肝臓に脂肪が蓄積するものの、肝臓の炎症や繊維化が進まない良性の状態。食事療法や運動療法で改善しやすいとされています。
  • 非アルコール性脂肪肝炎(NASH): 肝臓に脂肪が蓄積するだけでなく、炎症や肝細胞の損傷が進行し、肝硬変や肝臓がんになる可能性がある重篤な状態です。

NASHのリスクと予防

NASHのリスクは、メタボリックシンドローム(高血糖、脂質代謝異常、高血圧など)の要因が多いほど高くなるとされています。そのため、日頃からバランスの取れた食生活を心掛け、適度な運動を行うことで予防が可能です。

まとめ

脂肪肝は早期の発見と適切な対策が重要です。健康診断で肝機能検査を受け、自分の肝臓の状態を定期的にチェックし、必要に応じて生活習慣を見直しましょう。体重管理や食事、運動など、健康的な生活を送ることで、脂肪肝やその進行を予防することができます。