筋肥大に効くのは“深さ”だった!エビデンスで読み解くスクワットの極意

【筋肥大に効くのは“深さ”だった】スクワットのしゃがみの深さと筋肥大効果をエビデンスと実践から徹底解説!

筋トレの中でも王道中の王道「スクワット」の“しゃがみの深さ”と“筋肥大効果”の関係について、実際のトレーニング実践とともに、科学的な視点から深掘りしていきます。

「深くしゃがむと効く」とよく言われますが、果たしてそれは本当なのか?

どこまでしゃがめばいいのか?

重い重量を扱うためには浅くてもいいのか?

そんな疑問をお持ちの方に向けて、参考になればと思います。

7月10日(木)スクワット実践記録|140kg × 5回 × 6セット

この日は下半身のトレーニング日。

スクワットは140kgで5回×6セット。久しぶりにバーベルスクワットを導入しましたが、メインの目的は「フォーム確認」と「下半身の再活性化」。高重量ではありませんが、しゃがみの深さを意識しながら、全セット通して安定性を保つことに集中しました。

140kgという重量は、普段のMAX重量と比較すれば軽めですが、その分、可動域を深くとることができ、股関節・膝関節の連動や足裏の感覚を丁寧にチェックすることができました。

スクワットは深くしゃがむべき?その答えは科学が教えてくれる

「スクワットは深くしゃがむと筋肥大に効く」というのは、ただの感覚論ではありません。近年のスポーツ科学やトレーニング研究では、深いスクワット(フルスクワット)の方が浅いスクワット(ハーフ・パーシャルスクワット)よりも筋肥大効果が高いことが明確に示されています。

以下に、特に信頼性の高い研究をご紹介します。

▶ Kubo et al.(2019)

タイトル:Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes

概要:

10週間のトレーニングで、フルスクワット群とハーフスクワット群を比較

フルスクワット群の方が、大腿四頭筋・内転筋・臀筋などの筋肥大率が有意に高かった スクワットの筋力向上(1RM)もフルスクワット群の方が大きい  可動域の深さは筋肥大にも筋力向上にも効果的

▶ Bloomquist et al.(2013)

タイトル:Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations

概要:

13週間にわたる高重量スクワットのROM(可動域)比較

フルスクワット群の方が筋断面積(CSA)・ジャンプ力の両方で優位

特に臀筋群と内転筋群に大きな成長が見られた  深いしゃがみはパフォーマンス向上にもつながる

▶ Pinto et al.(2012)

タイトル:Effect of range of motion on muscle strength and thickness

概要:

レッグエクステンションマシンを使い、フルROMとパーシャルROMで比較

筋肉の厚み(大腿四頭筋)はフルROM群の方が有意に増加  スクワット以外のトレーニングでも**“深さ”が筋肥大に有利**

なぜ“深くしゃがむ”と筋肥大するのか?|ストレッチテンションの重要性

では、なぜ深くしゃがむことで筋肉がより発達するのでしょうか?

その理由は、「ストレッチテンション(筋が伸張された状態での負荷)」にあります。

筋肉は、完全に収縮された状態よりも、伸ばされた状態で強い張力がかかるときに最も強い成長刺激を受けるということが分かっています。これは「メカニカルテンション」と呼ばれる筋肥大の主要な要素の一つです。

フルスクワットでは、特に以下の筋群がストレッチされます:

大臀筋(しゃがんだときに最大伸長) 内転筋(股関節が開いている状態で伸びる)

大腿四頭筋(膝関節屈曲時に最大伸長)

これらの筋肉に対し、深い可動域でトレーニングすることで、成長ホルモンの分泌や筋繊維の動員率が向上し、結果として筋肥大効果が高まるというわけです。

重量 vs 可動域|どちらを優先すべきか?

よくある疑問として、

「重い重量を扱うためには浅いスクワットの方がいいのでは?」

という声があります。

確かに、パーシャルスクワットやハーフスクワットであれば、可動域が狭いため、より重い重量を扱いやすくなります。しかし、それが筋肥大に直結するとは限りません。

先述の通り、**筋肥大にとって最も重要なのは「負荷のかかる筋肉の範囲と質」**です。つまり、重さだけでなく「どの筋肉にどれだけ効かせられるか」が成長のカギになります。

したがって、トレーニングの目的が筋肥大であるならば、深くしゃがんでストレッチテンションをかけることを優先した方が良いのです。

もちろん、パワーリフターなど競技目的であれば重量を伸ばすことも重要ですが、その場合でもフルスクワットを取り入れることで基礎的な筋量が増え、結果的に1RMにも良い影響を与えます。

フルスクワットを取り入れる際の注意点

深くしゃがむスクワットは効果が高い反面、いくつか注意点もあります。

✅ 股関節・足首の可動域の確保

しゃがんだときに骨盤が後傾してしまうと、腰に負担がかかりやすくなります。十分なモビリティがあることが前提です。

✅ 重量は“プライド”より“フォーム”を優先

いきなり高重量で深くしゃがむとフォームが崩れ、ケガにつながります。まずは軽めの重量で動作を確かめることが重要です。

✅ 呼吸と腹圧のコントロール

深いスクワットほど腹圧が必要になります。しっかりと息を吸い、体幹を固めてしゃがむ意識を持ちましょう。

まとめ|深くしゃがめる身体づくりこそ、筋肥大の近道

スクワットのしゃがみの深さは、単なる「形」や「フォーム」の違いではありません。筋肉にどれだけ効かせられるかという点で見れば、深くしゃがめる=より大きな成長刺激を与えられるという、極めて大きな差になります。

筋肥大を目指すなら、重さにこだわりすぎず、自分の可動域の中で最も深くしゃがめるフォームを磨いていくことが大切です。

私自身、久々に140kgでフルスクワットを行ったことで、あらためて“深さ”の重要性を実感しました。

ぜひ、みなさんもフォームと可動域を見直しながら、効かせるスクワットを追求してみてください。