なぜ私はサイドレイズをほとんど行わないのか

お客様から、

「肩の筋肉をつけたいならサイドレイズをやった方がいいですか?」

と質問をいただくことがあります。

結論から言うと、私は自分自身のトレーニングでも、一般の方へのパーソナルトレーニングでも、サイドレイズをほとんど採用していません。

もちろんサイドレイズそのものを否定しているわけではありません。

実際にボディビルやフィジーク競技では定番種目ですし、肩の横(三角筋中部)を集中的に鍛える効果的な種目でもあります。

しかし、私自身が35年以上トレーニングを続ける中で何度も肩を故障し、さらに25年以上パーソナルトレーナーとして多くのお客様を指導してきた経験から考えると、一般の方の健康づくりやボディメイクにおいては優先順位が低いと考えています。

その理由を説明します。

【① 肩関節はもともと不安定な構造をしている】

肩関節は、人間の関節の中でも特に可動域が広い反面、とても不安定な構造をしています。

肩の上には肩峰という骨があり、その下の狭いスペースには棘上筋腱や滑液包などの重要な組織が存在しています。

サイドレイズは腕を横へ挙げる種目です。

フォームが少し崩れたり、肩甲骨の動きが悪かったりすると、この狭いスペースで組織が圧迫されやすくなります。

【② 現代人の姿勢との相性が良いとは言えない】

現代人はスマートフォンやパソコンの使用時間が長く、巻き肩や猫背になっている方が非常に多く見られます。

その状態でサイドレイズを行うと、

・肩がすくむ

・首に力が入る

・肩の前側が痛くなる

・僧帽筋ばかり使う

といった問題が起こりやすくなります。

実際に私自身も、高重量トレーニングを続ける中で何度も肩の故障を経験してきました。

だからこそ現在は、

「本当にその種目が必要なのか」

を以前よりも慎重に考えるようになりました。

【③ 一般の方は多関節種目を優先した方が効率が良い】

一般の方のトレーニング時間は限られています。

週1回や週2回のトレーニングで結果を出そうと考えた場合、私はサイドレイズよりも多関節種目を優先します。

例えば、

・ショルダープレス

・アーノルドプレス

・ラットプルダウン

・懸垂

・ローイング

・ベンチプレス

などです。

これらの種目は肩だけではなく、胸や背中、腕、体幹まで同時に鍛えることができます。

消費カロリーも大きく、筋力向上や姿勢改善にもつながります。

さらに、引く動作であるラットプルダウンやローイングは、前に出やすい肩甲骨を本来の位置へ戻す働きも期待できます。

【④ 私が重視しているのは「肩を鍛えること」より「肩が安全に動くこと」】

私は肩のトレーニングを考える際、

「肩だけを鍛える」

のではなく、

「肩が安全に動く環境を作る」

ことを重視しています。

そのため、

プレス系種目で肩の前部から中部を鍛え、

プル系種目で肩の後部や肩甲骨周囲を鍛える。

この組み合わせを基本にしています。

もちろん競技レベルで肩の横幅を極限まで発達させたい場合には、サイドレイズが有効な場面もあります。

しかし、多くの一般の方が目指しているのは、

・健康的な身体

・痛みのない身体

・引き締まった身体

・動きやすい身体

ではないでしょうか。

その目的であれば、私はサイドレイズに多くの時間を使うよりも、安全性が高く全身への効果も大きい多関節種目を優先した方が良いと考えています。

【私がたどり着いた結論】

これは教科書だけで学んだ知識ではありません。

何度も肩を故障し、手術も経験し、それでもトレーニングを続けてきた私自身の経験と、長年お客様を指導してきた経験からたどり着いた結論です。

だから私は、自分自身のトレーニングでも、お客様のトレーニングでも、サイドレイズをほとんど行わず、より安全で効果的な種目を優先しています。

小濱裕司