ベンチプレスで重量を伸ばすためには、
「気合」や「根性」だけでは限界があります。
記録を継続的に更新していくために必要なのは、
① フォームの最適化
② 計画的なトレーニングプログラム
③ 補助種目による弱点補強
④ 停滞期への正しい対応
この4つをバランスよく整えることです。
① フォームの最適化(出力を最大化する土台)
正しいフォームはケガ予防だけでなく、
全身の力をバーベルに無駄なく伝えるための構造です。
● 肩甲骨のセット(内転・下制)
肩甲骨を「寄せて・下げる」ことで、
・肩関節の安定性が高まる
・大胸筋を使いやすくなる
・高重量でもフォームが崩れにくくなる
ベンチプレスは肩で押す種目ではありません。
● ブリッジ(アーチ)の作成
背中に適度なアーチを作ることで、
・バーの移動距離が短縮される
・より強い出力が可能になる
※無理な反りではなく、「胸を立てる」意識が重要です。
● レッグドライブの活用
足裏全体を床につけ、
バーを押す瞬間に床を押す力を上半身へ伝える。
ベンチプレスは上半身種目ですが、
全身運動として行うことで最大出力が発揮されます。
● バーの軌道
理想は一直線ではありません。
・下ろす位置:鎖骨〜みぞおち付近
・押す方向:やや顔側へ斜め上
この軌道が、
肩に優しく、最も力が出やすいラインです。
● 握り方(見落とされがちな重要点)
バーは指先で握らず、
手のひらの付け根(親指の付け根の厚い部分)に乗せます。
これにより、
前腕の骨に直接負荷が伝わり、
力のロスが最小限になります。
② 重量設定とプログラム(漸進性過負荷)
「毎回限界まで」は、
停滞とケガの原因になります。
● 増量の基本ルール
・全セット完遂できたら +2.5kg
・失敗が続く場合は重量を固定
小さな成功を積み重ねることが、
最短距離での記録更新につながります。
● トレーニング頻度
週1回では現状維持になりやすいため、
・週2〜3回が理想
・高強度の日(重さ)とボリュームの日(回数)を分ける
これにより、
神経系と筋量の両方を伸ばせます。
③ 補助種目の活用(弱点の克服)
ベンチプレスが止まる原因は、
必ずどこかにあります。
● 上腕三頭筋(押し切れない場合)
・ナローベンチプレス
・スカルクラッシャー
・ディップス
ロックアウトの弱さに直結します。
● 大胸筋のボトム強化(胸で止まる場合)
・ダンベルフライ
・ポーズベンチプレス(胸で1秒停止)
可動域と初動の出力を改善します。
● 背中の安定性(高重量でブレる場合)
・ベントオーバーロウ
・懸垂
背中はベンチプレスの土台です。
背中が弱いと、いくら胸や腕を鍛えても伸びません。
④ 停滞期を打破する具体策
数週間〜数か月伸びない場合は、
「やり方を変える」必要があります。
⑴ ディロード(積極的休養)
・1週間
・重量を50〜60%まで落とす
疲労を完全に抜くことで、
その後に記録が一気に伸びるケースは非常に多くあります。
⑵テンポの変更
・下ろし4秒(エキセントリック重視)
・コントロール重視
神経系と筋への刺激が変わり、
停滞から抜けやすくなります。
⑶グリップ幅の変更
・指1本分広げる
・または狭める
筋肉の使われ方が変わり、
新しい刺激が入ります。
まとめ
ベンチプレスの重量を伸ばすために必要なのは、
・フォームによる出力最大化
・計画的な重量設定
・補助種目による弱点補強
・停滞期に「引く判断」ができること
です。
上級者になるほど、
「頑張る量」より「考えて変える力」が
記録更新を左右します。

