【歯の食いしばりとベンチプレス】左奥歯の詰め物が取れたことで見えた意外な事実

先日、トレーニング中にある異変が起こりました。

左奥歯の銀の詰め物が取れてしまった

トレーニング中、とくにベンチプレスのセット中に、口の中に違和感を覚えました。確認してみると、左奥歯に詰めてあった銀のインレー(詰め物)が外れてしまっていたのです。普段は特に気にしていなかった箇所ですが、金属がなくなった部分に力がかかるたびに、出血するようになりました。

歯を食いしばれないベンチプレスはこんなにも違う

それ以来、出血を防ぐためにベンチプレスの際に歯を食いしばらないよう意識するようになりました。しかし、驚いたことに、今まで余裕だった重量が急に重く感じるようになったのです。

「いつもの重さなのに、力が入らない」

「体幹が不安定に感じる」

「挙上スピードが遅くなる」

こうした変化は、単なる気のせいではありませんでした。

食いしばりが筋力発揮に与える影響:科学的根拠

実は、「歯の食いしばり」が筋出力や安定性に影響を与えるという研究は複数存在します。

1. 顎関節と筋力の関連

2018年に発表された研究(Takeuchi et al., Journal of Strength and Conditioning Research)では、食いしばりが四肢筋力の発揮に有意に影響を与えることが示されています。これは、顎の筋肉が収縮すると脊髄の反射機構(特にγ-ループ)が活性化され、他の筋群の活動性が向上するためと考えられています。

2. 「ポスチャルスタビリティ」と歯の関係

さらに、2016年の研究(Gangloff & Perrin, Neuroscience Letters)では、歯の接触が体幹の安定性やバランス保持能力に寄与していることが報告されています。これは、咬合(こうごう)刺激が中枢神経系に影響を与え、姿勢制御や筋緊張の調整に関与するためと解釈されています。

無意識の「歯の食いしばり」が持つパフォーマンスへの恩恵

我々トレーニーやアスリートは、無意識のうちに動作中に歯を食いしばっています。これは単なる癖ではなく、「最大筋力発揮」「コアの安定性」「動作の一体感」などを支える自然な生理的メカニズムです。

つまり、歯を食いしばることができない状態では、

バーベルを持ち上げるための出力が低下し、 ブレないための体幹安定性が損なわれ、 「効かせたい筋肉」に集中するための神経伝達にも影響を与える

という一連のパフォーマンス低下が起こり得るのです。

今後の対応と予防

現在は、早急に歯科を受診し、詰め物の再装着または新しい補綴処置を行う予定です。また、以下のような対策も検討しています:

マウスピースの導入:パワーリフターやボクサーの間では一般的。歯の保護と咬合安定を両立。

歯科定期検診の強化:パフォーマンス維持の一環としての歯のメンテナンス。

トレーニングフォームと出力の見直し:歯に頼らずとも安定する姿勢・フォームの再確認。

まとめ

歯の詰め物が取れたことは小さなアクシデントに思えるかもしれませんが、筋力トレーニングや競技パフォーマンスにおける「咬合(こうごう)」の重要性を再認識させられる出来事でした。

普段何気なく行っている動作の背後には、細かな身体の仕組みが支えてくれていることを、身をもって実感しました。

これを読まれた方も、ぜひ今一度、ご自身の「歯の健康」と「食いしばり」の感覚に注意を向けてみてください。見落としがちなポイントが、意外にも大きな鍵を握っているかもしれません。