肩腱板断裂の手術後に気をつけること
― 装具・仕事復帰・スポーツ復帰の目安 ―
肩の腱板(けんばん)とは、肩の動きを支える重要な筋肉と腱の集まりです。
腱板断裂は、加齢や外傷などが原因で腱板が切れてしまうケガで、手術が必要になるケースもあります。
今回は、手術後の装具期間・仕事復帰・スポーツ復帰の時期について、一般的な流れを説明します。
■ 手術後の装具(固定期間)
手術後は、肩をしっかり固定するために装具(スリングやアームホルダー)を約4週間装着します。
この期間は、無理に動かすと修復した腱板に負担がかかるため、安静が最も大切です。
装具が外れるまでは、車の運転も禁止となります。装具を外してから、少しずつ日常動作を再開していきましょう。
■ 仕事復帰の目安
術後1か月ほどは、痛みや可動域の制限が残ります。
そのため、デスクワーク(事務職)であれば退院後すぐに復帰できる場合もありますが、長時間のパソコン作業やマウス操作などでは痛みが出やすいため注意が必要です。
一方で、軽作業や重労働の場合は、仕事内容や職場環境によって復帰時期が大きく異なります。
腕を上げる動作や重いものを扱う作業では、負担がかかりやすいため、3か月以降の復帰が目安となります。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、必ず主治医と相談して判断してください。
■ スポーツ復帰の目安
手術で修復した腱がしっかりと癒合するまでには約3か月かかります。
この時期に無理をすると、再断裂のリスクが非常に高くなるため、肩に負担のかかる動作(投球、プレス系種目、ゴルフスイングなど)は控える必要があります。
軽い運動であっても、肩を使う種目の再開は術後3か月以降が安全とされています。
そして、本格的なスポーツ復帰の目安はおよそ術後6か月以降です。
年齢、断裂の形態、筋力、競技内容、回復スピードなどによって個人差がありますので、医師や理学療法士の指導のもとで段階的に再開しましょう。
■ 回復の流れ(まとめ)
装具の装着期間は約4週間で、運転は禁止・安静第一。
デスクワーク復帰は退院後すぐに可能な場合もあるが、長時間の作業は注意。
軽作業や重労働は3か月以降が目安で、必ず医師と相談。
スポーツ再開は3か月以降の軽い運動から。再断裂を防ぐため焦らないことが大切。
本格的なスポーツ復帰は約6か月以降が目安で、筋力や可動域の回復を確認してから。
■ トレーナーからのアドバイス
肩の手術後は「焦らず」「段階的に」回復を進めることが何より重要です。
装具が外れてからいきなりトレーニングを再開するのではなく、
まずは可動域回復を優先することが大切です。
腱板は再発しやすい部位でもあるため、「早く戻りたい」気持ちを抑えて、確実なリハビリステップを踏むことが、長期的な回復への近道です。
医師・理学療法士・トレーナーが連携し、無理のない範囲で徐々に運動を再開していきましょう。