
術後の長期休養とマッスルメモリーについて
今回の右肩手術により、手術後の安静期間も含めると、半年以上トレーニングをしない期間ができてしまいます。本格的な再開は術後5〜6ヶ月後、来年の3〜4月頃の予定です。これほど長い休養を取ると「筋肉がゼロに戻ってしまうのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
ここで注目したいのが「マッスルメモリー(筋肉の記憶)」です。過去のトレーニング経験が体に“記録”されており、再開後は初めての時よりも速いペースで筋力や筋肉量が回復するという現象です。
2018年のSeaborneらの研究では、7週間のトレーニング後に7週間休養し、その後再トレーニングを行ったところ、以前よりも速く筋肉が成長しました。
さらに2024年のCummingらの研究では、10週間のトレーニング → 16週間の休養 → 再トレーニングという長期間でも、筋肉の核や遺伝子発現の変化が残り、再成長が促進されることが報告されています。
加えて、動物実験でも6ヶ月間の休養後に「筋肉の核」が維持される例が確認され、長期的なマッスルメモリーの存在が裏付けられています。
つまり、怪我と術後リハビリを合わせて半年以上休むことになっても、これまで積み重ねてきたトレーニング経験は体に残り、復帰後の成長を後押ししてくれる可能性が高いのです。
だからこそ、今は無理をせずしっかり休み、術後に万全の状態で復帰できるよう備えることが大切だと考えています。
小濱裕司