テレビで見た“痩せる治療薬”を安易に使う前に伝えたい現場の真実

✅ 糖尿病治療薬をダイエット目的で使う前に、本当に知っておいてほしいこと

最近、テレビで糖尿病治療薬が取り上げられることが増えています。

それに伴い、「体重が落ちる薬らしい」という印象が広がり、ダイエット目的で使おうとする方が増えているという話も耳にします。

ただ、ここで大切なのは、これらの薬の本来の役割と作用を正しく理解することです。

テレビでよく聞く オゼンピック、リベルサス、マンジャロ は、すべて 糖尿病治療薬 です。

血糖値をコントロールするために医師が処方する薬であり、“やせ薬”として作られたわけではありません。

GLP-1とGIPの働きを知っておく

まず、これらの薬の仕組みを理解するために、2つのホルモンの特徴を簡単に説明します。

GLP-1(ジーエルピーワン) は、食事をすると腸から分泌され

・血糖値を下げる

・食欲を抑える

・胃の動きをゆっくりにする

という作用を持ちます。

GIP(ジーアイピー) も同じく腸から分泌され、血糖値を下げる方向に働くホルモンです。

薬の正しい分類

このGLP-1やGIPの働きを“再現する”のが、いわゆるGLP-1関連の治療薬です。

まず、オゼンピック(セマグルチド) と リベルサス(セマグルチドの経口タイプ) は、どちらも GLP-1受容体作動薬 と呼ばれる薬です。

GLP-1というホルモンが本来持っている「食欲を抑える」「胃の動きをゆっくりにする」「血糖値を下げる」といった作用を強める仕組みになっています。

一方、マンジャロ(チルゼパチド) は少し特別で、GLP-1 と GIP の両方に働く薬 です。

これは「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれ、2つのホルモンの働きを同時に再現・強調するタイプになります。

そして重要なのは、これらの薬は GLP-1を阻害する薬ではない ということです。

正しくは GLP-1 や GIP の“本来の作用を強める薬”です。

体重が落ちることがあるのは、この作用により

「食欲が落ちる」「胃の排出が遅くなる」

といった変化が起きるからです。

体重よりも“体の中身”がどう変化しているかが重要

体重が減ること自体は悪いことではありませんが、その内容が問題です。

糖尿病治療薬をダイエット目的で使った場合、

・胃腸の動きが遅くなり便秘になりやすい

・急激な体重減少で骨密度が低下し、骨折リスクが上がる

・筋肉量が落ちる可能性が大きい

こういったデメリットが指摘されています。

特に筋肉量の低下は、パーソナルトレーニングの現場にいる立場からみても非常に深刻です。

筋肉が落ちるということは

・基礎代謝が下がる

・体力が落ちる

・太りやすくなる

・将来フレイルになるリスクが上がる

身体の“土台”が弱ることを意味します。

数字が落ちても、中身が弱ってしまえば本末転倒です。

パーソナルトレーナーとして伝えたいこと

薬の使用可否は医師の領域ですが、身体づくりのプロとして言えることがあります。

それは、ダイエットで最も大事なのは「筋肉を守ること」だということです。

筋肉さえ残っていれば

・動ける身体

・疲れにくい身体

・代謝の高い身体

・リバウンドしにくい身体

が手に入ります。

これは24年以上、数多くの身体を見続けてきた中で確信していることです。

身体は一気には変わらない。だからこそ積み重ねがすべて

薬では筋肉は増えませんし、骨が強くなることもありません。

健康的に身体を変えたいのであれば、結局は

筋トレ・食事・睡眠

この3つの土台が必要です。

短期間で体重だけを落とす方法は、後で必ず歪みが出ます。

逆に、筋肉を落とさずに着実に減量できた方は、見た目も中身も圧倒的に良い状態になります。

身体は「作ったところしか残らない」。

これは現場でずっと感じてきた事実です。

最後に

テレビで治療薬が紹介される機会が増えたことで、興味を持つ方も増えていますが、

オゼンピック、リベルサス、マンジャロは、あくまでも 糖尿病治療薬 です。

体重は落とせても、筋肉や骨まで落としてしまえば、その後の健康に大きな影響が出ます。

だからこそ、健康的な身体を作りたい方には、

正しいトレーニングと食事の積み重ね

これが一番確実で、最も裏切らない方法だとお伝えしたいです。

焦らず、着実に。

強くて動ける身体を一緒に作っていきましょう。