ジョイントバイジョイント理論

ジョイントバイジョイント理論は、身体を「関節の役割」で考える見方です。

トレーニング中に痛みが出ると、どうしても痛い場所だけに目がいきますが、実際には別の場所の影響で負担が集まっていることもよくあります。

この理論については、アメリカのトレーナーのマイケル・ボイル氏と、理学療法士のグレイ・クック氏によって提唱された考え方として知られています。

ジョイントバイジョイント理論で大事なのは、体は「動く役(可動性)」と「支える役(安定性)」が交互に並んでいるという点です。

下から見るとこんなイメージです。

• 足首:動く役

• 膝:支える役

• 股関節:動く役

• 腰:支える役

• 背中(胸椎):動く役

• 首:支える役

• 肩甲骨まわり:支える役

• 肩:動く役

• 肘:支える役

• 手首・手:動く役

この役割分担がうまくいくと、フォームは安定しやすく、余計な負担も出にくくなります。

逆に言えば、どこかの関節が本来の役割を果たせないと、別の関節が代わりに頑張ってしまい、痛みや違和感につながっていきます。

(ケース1)スクワットで膝が痛くなる原因と対策

スクワットで膝が痛くなる人は、膝をなんとかしようとしてフォームを直します。

もちろん膝の軌道も大切ですが、膝は本来「支える役」です。

膝が痛くなるケースで多いのは、足首や股関節の動きが足りず、膝が代わりに頑張りすぎているパターンです。

足首が硬いと、しゃがむ時に身体がうまく沈まず、膝だけが前に出たり、膝が内側に入りやすくなります。

股関節の動きが出ない場合も、お尻側を使いにくくなり、膝に負担が寄りやすくなります。

対策としては、膝そのものを責めるよりも、まず足首と股関節が動ける状態を作ることが近道です。

そのうえで膝がブレないように安定させられると、膝の痛みは出にくくなっていきます。

(ケース2)ベンチプレスで肩が痛くなる原因と対策

ベンチプレスで肩が痛くなる人も、「肩が弱い」「肩が硬い」と考えがちです。

ただ肩は本来「動く役」なので、ここに負担が集中すると痛めやすくなります。

ベンチプレスでありがちなのは、肩甲骨まわりが安定せず、肩が余計に動いてしまうパターンです。

肩甲骨まわりは「支える役」なので、ここがフワつくと、押すたびに肩がズレやすくなります。

さらに背中(胸椎)の動きが硬いと、押す動作がスムーズに作れず、肩に無理が集まりやすくなります。

対策は、肩を無理に固めるよりも、肩甲骨まわりを安定させて、背中の動きを出していくことです。

土台が整うと、肩だけで押す感じが減って、痛みのリスクも下がります。

(ケース3)首がつらい・肩こりが強い原因と対策

首は「支える役」です。

本来は頭を安定させて、無駄な力を入れずに支えるのが仕事です。

それなのに首がつらくなる人は、背中(胸椎)が固かったり、肩甲骨まわりが安定していなかったりして、首が代わりに頑張ってしまっていることがあります。

特にトレーニング中に肩がすくむ癖があると、首の負担は増えやすくなります。

対策としては、首を揉んだり伸ばしたりするだけではなく、背中の動きや肩甲骨の安定を整えることが重要になります。

土台ができると、首の力みが抜けて楽になるケースがあります。

(ケース4)肘が痛くなる原因と対策(ベンチ・腕立て・懸垂で多い)

肘は「支える役」です。

つまり本来は、ブレずに安定して力を伝えるのが仕事です。

肘が痛くなる場合は、肩や肩甲骨が安定していなかったり、動作中に肩が暴れていたりして、肘がかばう形になっていることがあります。

押す動作でも引く動作でも、肘は力の通り道なので、フォームが崩れたぶんの負担が集まりやすくなります。

対策としては、肘だけをどうにかするよりも、肩甲骨まわりを安定させた状態で押す・引くフォームを作ることが重要です。

土台が整えば、肘のストレスは減っていきます。

(ケース5)手首や手が痛くなる原因と対策(握る動作が多い人)

手首や手は「動く役」です。

ただし動くからこそ、使い方が崩れると負担が出やすい場所でもあります。

例えばベンチプレスで手首が反りすぎていたり、ダンベル種目で握りが不安定だったりすると、手首に負担が集中します。

懸垂やローイングでも、握りの位置や角度がズレると、肘や肩まで連鎖的に崩れやすくなります。

対策は、手首を無理に固めるのではなく、まず「真っすぐ力が伝わる位置」で握れる状態を作ることです。

握りが整うだけで、肘や肩のストレスが減る人も珍しくありません。

まとめ

ジョイントバイジョイント理論を使うと、痛みが出たときに「そこだけが悪い」で終わらず、原因を整理しやすくなります。

動くべき関節が動けているか。

支えるべき関節が支えられているか。

この順番で見直していくと、フォームも安定しやすくなり、結果としてトレーニングの質も上がっていきます。