トレーニングをしばらく休んだあとに再開する時、「どのくらいの重量から戻すべきか?」という質問はとても多いです。
ここは感覚だけで決めるのではなく、ある程度の原則を持っておいた方が安全ですし、結果的に早く元の状態に戻れます。
まず前提として、休止明けのトレーニングは通常期ではなく“移行期”として考えます。
専門団体の指針でも、トレーニング再開直後は強度やボリュームに上限を設けて、数週間かけて段階的に戻すことが勧められています。
つまり、いきなり以前のセット重量には戻さないということです。
再開初日は、「鍛える日」ではなく「動きを取り戻す日」です。
フォーム、可動域、違和感の有無、左右差、ブランクによる感覚のズレ。このあたりを確認することを優先します。
重量設定は、以前の最大重量やセット重量よりも、はっきり軽いところから始めます。
物足りなく感じるくらいでちょうどいいです。ここで欲を出すと、だいたい関節か腱が先に悲鳴を上げます。筋肉は耐えても、支持組織はごまかせません。
では、そこからどう増やしていくか。
現場ではよく、
上半身は+2.5〜5kg
下半身は+5〜10kg
という刻みで戻していく方法を使います。これは実務上とても使いやすい目安です。
ただし、「毎回必ず増やす」という意味ではありません。
次の重量に上げていいかどうかは条件付きです。
フォームが崩れていないこと。
動作スピードが極端に落ちていないこと。
関節や既往部位に痛みや違和感が出ていないこと。
限界まで追い込まず、余力を残して終えられていること。
これらを満たしている場合に限り、次回は少し増やします。
どれか一つでも怪しければ据え置き、もしくは一段階戻します。
再開後の2〜4週間は、記録更新の期間ではありません。
再適応の期間です。
この時期の目的は、「どこまで挙がるか」ではなく、「どれだけ安定して積み上げられるか」です。ここを丁寧に進めた人の方が、その後の伸びは安定します。
トレーニングは休んでも、再開すれば筋力や筋量は比較的速く戻ってきます。これは研究でも確認されています。ただしそれは、段階的に戻した場合の話です。急いで一気に戻した場合は、戻る前に止まることが多いです。たいていは痛みかケガでブレーキがかかります。
まとめると、
休止明けは移行期として扱う。
最大重量や以前のセット重量より十分軽い負荷から始める。
まずは動きと感覚を取り戻す。
問題がなければ、上半身+2.5〜5kg、下半身+5〜10kgを目安に段階的に戻す。
ただし毎回ではなく、状態を見て判断する。
だからこそ、焦らず順番どおりに戻していくことが、結局いちばん早道です。

