筋肉をつけるために、追い込み方と休み方を考える

千葉県木更津市のパーソナルトレーニングジム、小濱トレーニングジム代表・パーソナルトレーナーの小濱裕司です。

筋トレを続けるなら、扱う重量や回数に加えて、次のトレーニングまでにどこまで回復できるかも見ておきたいところです。

頑張る量と回復の釣り合いによって、メニューの組み方は変わります。

同じ重量を前より安定して扱えるようになったか。回数は伸びているか。肩や膝の調子はどうか。

私は、こうした経過を確かめながら、お客様に合う負荷を選ぶことを大事にしたいと思っています。

① 💪 重さと回数は、何を目指すかで変わる

筋肉を大きくすることと、より重い重量を挙げることは、つながっていても同じ目標ではありません。

負荷を比較した研究では、筋肥大は幅広い重量で起こる一方、最大挙上重量を伸ばすには高負荷での練習が有利でした。軽い重量を使う場合も、十分な反復によって筋肉へ適切な刺激を与えることが大切です。[Schoenfeldら、2017]⁠

例えば、筋肥大を狙う種目は6〜15回、筋力を重視する主種目は3〜5回という組み方があります。

この範囲を外れたら効果がないわけではなく、あくまで設定の一例です。動作に慣れていない方なら、まずは無理なくフォームを保てる重量から始めます。

② 📅 セット数を増やす前に、1週間の量を見る

パーソナルトレーニングに加えて自主トレもしている方は、両方を合わせた量を確認する必要があります。

ジムでの1回だけを見ていると、すでに十分な運動量があるところへ、さらにメニューを足してしまうかもしれません。

週間のセット数と効果を調べたメタ解析では、量を増やすほど筋肥大が大きくなる傾向が示されています。ただ、追加したセットから得られる効果は次第に小さくなります。

必要なセット数は、トレーニング経験や回復力、目的に合わせて調整することが大切です。[Pellandら、2026]⁠

胸を週2回、各回5セットなら週10セット。

プレス動作では肩や上腕三頭筋にも負荷がかかるので、その疲れも含めて考えます。

記録が伸び、次の練習に支障がなければ、すぐに量を増やす必要はないでしょう。伸び悩んだときも、睡眠や食事、セットごとの余力を確認してから調整したいところです。

③ 🎯 追い込み具合は「あと何回できるか」で考える

毎セット、もう1回も挙がらなくなるまで行わなくても、筋肥大は起こります。一方で、限界に近いところまで反復するほど筋肥大が大きくなる傾向も報告されています。必要な刺激と、その後に残る疲労の両方を考えておきたい部分です。[Refaloら、2023]⁠ [Robinsonら、2024]⁠

目安になるのがRIRです。「同じフォームであと何回できそうか」を表し、あと2回ならRIR2となります。

筋肥大を狙う練習ではRIR1〜3を目安にする方法がありますが、最適な余力が全員に共通するわけではありません。

RIR4以上でも、トレーニング経験や種目によっては有効な刺激を得られる場合があります。

慣れないうちは、残りの回数を正確に見積もるのも難しいものです。本人の感覚を聞きながら、フォームや動作の変化も見て判断します。

レストポーズ法などを使う場合も、普通のセットで十分な刺激が得られているかを先に確かめます。

④ 🏋️ 種目と休憩は、身体の反応を見ながら

30度のインクラインベンチプレスやフロントスクワットは選択肢になりますが、全員に合うとは限りません。

マシンとフリーウェイトを比べた研究でも、筋肥大に明確な優劣は確認されていません。筋力は、練習した動作に応じて伸びやすいという特徴があります。[Haugenら、2023]⁠

種目を選ぶときは、狙う部位に負荷をかけられるか、無理のない範囲で動けるか、肩・腰・膝にどんな反応が出るかを確かめます。評判のよい種目でも、身体に合わなければ別の方法を選んで構いません。

テンポも同じです。反復を極端に遅くするほど筋肥大が高まるとは示されていませんが、下ろす動作を制御することには意味があります。速さだけを目標にせず、狙った動きを保てるかを見ます。[Schoenfeldら、2015]⁠

主要種目なら、セット間の休憩を2〜3分から設定し、必要に応じて延ばす方法があります。息が上がったまま急いで始めるより、次のセットで必要な力を出せることを優先したいと思います。

同じ種目でも、同じフォームで回数や重量が伸びていれば進歩です。同じ条件で続けることは、前回からの変化を確かめるうえでも役立ちます。

⑤ 🍽️ 食事は、1日の合計から見ていく

◆ たんぱく質の量

たんぱく質は、健康な運動習慣のある成人で、体重1kgあたり1日1.4〜2.0gが多くの人に十分な範囲とされています。

体重60kgで1.6g/kgを目安にするなら1日96g。ただし、1.6g/kgは全員の必要量や上限を示す数字ではありません。[ISSN、2017]⁠

この数字は、食事と補助食品を合わせたたんぱく質の量です。プロテインパウダー自体の重さではありません。

まず普段の食事でどれくらい摂れているかを確認し、不足する分をどう補うか考えます。

◆ EAA・BCAAの考え方

EAAは9種類の必須アミノ酸、BCAAはそのうち3種類です。

良質なたんぱく質を十分に摂れていれば、減量中という理由だけで追加が必須になるわけではありません。

◆ 空腹時の運動と糖質制限

空腹で運動することについても、言い切った説明には注意が必要です。筋たんぱく質は普段から合成と分解を繰り返しています。

「筋分解は起こらない」は正確ではありませんが、一時的な分解をそのまま長期的な筋肉量の減少と結びつけず、1日の食事量やトレーニング全体のバランスで考えることが大切です。[筋たんぱく質の代謝と栄養]⁠

糖質を減らしたときも、体重や体組成計の数値だけでは筋肉の増減を判断できません。グリコーゲンや体内の水分が変わると、測定値にも影響します。

食事量、たんぱく質、練習の調子を合わせて見ていく必要があります。[Aragonら、2017]⁠

◆ サプリメントの選び方

サプリメントは、目的が合っているかも確認します。クレアチンには高強度運動やトレーニングへの適応を支える根拠があります。

βアラニンは主に1〜4分程度の高強度運動で効果が報告されていますが、どちらも適切なトレーニングや食事を支える補助として活用するものです。[クレアチンに関する声明]⁠ [βアラニンに関する声明]⁠

⑥ 🌙 回復まで含めて、次のメニューを決める

有酸素運動と筋トレは両立できます。併用についてのメタ解析では、筋肥大や最大筋力への明確な悪影響は認められていません。

ただし、瞬発力の向上は、とくに同じセッションで行う場合に影響を受ける可能性があります。目的に応じて運動量や実施日を調整します。[Schumannら、2022]⁠

身体のケアにも、期待できることと、まだはっきりしていないことがあります。マッサージガンには短期的な可動域改善などの報告がありますが、主にコンディショニングの一手段として取り入れるとよいでしょう。[Ferreiraら、2023]⁠

使って楽に感じるなら、その感覚も参考になります。ただ、ケア用品や呼吸法だけで、睡眠不足や過剰な運動量を埋め合わせようとは考えません。

アイシングも一律の習慣にせず、運動後のケアとけがへの対応を分けます。関節痛や腫れが強まるなら、種目を中止・変更する判断が必要です。

📝 次のトレーニングにつなげる記録

指導で残しておきたい記録は、種目、重量、回数、セット数、余力、そして実施中と翌日の身体の状態です。

「ベンチプレス60kg、8回×3セット、あと2回できそう、肩の痛みなし」とあれば、次の練習と比べやすくなります。

回数が伸びて身体の調子もよければ、その内容を続ける。出力が落ち、疲労や痛みが残るなら、量や種目を見直す。

小濱トレーニングジムでも、研究の知見とお客様の記録を照らし合わせながら、負荷や種目を調整していきます。