
肩の可動域回復とインナーマッスル活性化トレーニング実践プログラム
肩の可動域を回復し、再び高負荷トレーニングへ安全に移行するためには、段階的で計画的なプログラムが必要です。ここでは、当ジムで実際に行っているトレーニング内容を詳しくご紹介します。
Step 1:動的ストレッチ&モビリティドリル
まずは肩関節周囲の血流を促進し、動きやすさを作ります。
胸椎エクステンション(フォームローラー使用)
仰向けでフォームローラーを肩甲骨下部に当て、胸を開くように伸展。背中の硬さを解消し、肩の可動域を広げます。
スキャプラサークル
立位または四つ這いで肩甲骨を上下・前後・回旋方向へ大きく動かす。肩甲骨の滑らかな動きを引き出します。
Step 2:低負荷アクティベーション(インナーマッスル活性化)
可動域が広がったら、軽い負荷で関節の安定性を作るインナーマッスルを刺激します。
チューブ外旋運動(ローテーターカフ)
肘を90度に曲げ、体側につけたままゴムバンドを外側に引く。肩関節外旋筋群(棘下筋・小円筋)を強化。
前鋸筋パンチ(セラバンドまたはケーブル)
前に押し出す動きで肩甲骨の外転を促し、肩の安定性向上。
下部僧帽筋リフト
うつ伏せで腕をY字に上げ、肩甲骨を下げる動作。背部下部の安定性を作ります。
Step 3:コントロール重視の可動域拡大種目
インナーマッスルが活性化したら、低〜中負荷で正しい動きと可動域を取り戻します。
Y/T/Wエクササイズ
うつ伏せまたはベンチ上で、腕をY字・T字・W字に動かし、肩甲骨の正しい位置制御を学習。
軽負荷ダンベルプレス(可動域制限付き)
肩に負担をかけない範囲で可動域を設定し、フォームを徹底。
フェイスプル(ロープアタッチメント)
肩の外旋+水平外転を同時に行い、肩後部と肩甲骨周囲の筋群を強化。
Step 4:機能チェック
痛みがほぼゼロであること
代償動作が出ないこと(腰反り、肩すくみ等)
可動域が左右均等に近づいていること
これらをクリアしたら次の段階へ進みます。
Step 5:漸進的高負荷復帰
中負荷コンパウンド種目(例:インクラインダンベルプレス、オーバーヘッドプレス)
正しいフォームでの安定性を確認しながら負荷を徐々に増加。
競技・目的別プログラムへ移行
パワーリフティングやスポーツ動作特化のメニューに復帰します。
まとめ
この流れでトレーニングを行うことで、
可動域の回復 関節の安定性強化 高負荷への安全な復帰 が可能になります。
高負荷でのパフォーマンスを維持するには、インナーマッスルの活性化と可動域改善が不可欠です。今の肩の状態に合わせて、負荷・種目・可動域を調整しながら進めましょう。