
ダイエットや糖質制限、ファスティング、アスリートの栄養管理で注目を集めている「MCTオイル」。パーソナルトレーニングの現場でも活用される場面が増えています。
MCTオイルとは?
MCT(Medium Chain Triglycerides)は「中鎖脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸で、ココナッツオイルやパーム核油などに多く含まれています。
一般的な食用油(長鎖脂肪酸)とは異なり、分子構造が短く、小腸から直接肝臓に運ばれてすぐにエネルギーに変換されるという特性があります。
主な効果(目的別まとめ)
● ダイエット・脂肪燃焼サポート
体脂肪として蓄積されにくく、すばやく燃焼される ケトン体の生成を促進し、脂肪代謝を助ける 満腹感が持続しやすく、食欲抑制にも有効
● 脳のパフォーマンス向上
ケトン体が脳の代替エネルギー源となり、集中力や記憶力を維持 高齢者や認知機能が低下しやすい方のサポートにも期待される
● 持久力・運動パフォーマンスの向上
長時間の運動中にエネルギー源として活用され、疲労を軽減 筋グリコーゲンの消耗を抑え、後半のスタミナを維持しやすい
タイミング別のおすすめ摂取方法
● 朝食時(起床後)
一日の活動に向けたエネルギー補給として最適 コーヒーやスープ、プロテインドリンクに混ぜるのが手軽
● トレーニングの30〜60分前
ケトン体生成によって脂肪燃焼モードへスムーズに移行 持久力や集中力をサポートする目的で活用
● 間食・空腹時
空腹感の抑制やケトン体生成による食欲コントロール 糖質を避けたい方の間食代替にも適している
摂取量の目安と下痢を防ぐコツ
● 基本の目安
初心者向け 1回あたり:小さじ1(約5g) 1日合計:1回のみから開始 慣れてきたら 1回あたり:大さじ1(約15g)まで 1日合計:最大30gまで(通常は2〜3回に分けて)
● 下痢をしやすい方への工夫
一度に10g以上摂ると、お腹が緩くなるリスクがある方も少なくありません。 そういった場合は、1日30gの摂取を5〜6回に分けて、1回5g(小さじ1)ずつ摂る方法がおすすめです。 少量をこまめに摂ることで胃腸への刺激を抑え、効果を維持しながら副作用を防げます。
MCTオイルの使い方例
● 飲み物に混ぜる
コーヒー、紅茶、プロテインドリンク、スムージー、味噌汁など
● 食事にかける
ヨーグルト、納豆、豆腐、サラダのドレッシング代わりに
使用時の注意点
加熱調理には使用しない 発煙点(約150〜160℃)が低いため、炒め物や揚げ物には不向きです。高温調理は酸化や煙の原因になるので、必ず「生」で使用してください。 ポリスチレン容器は避ける MCTオイルは一部プラスチックを溶かす性質があるため、カップ麺などの容器には使用せず、ガラス・陶器・耐熱樹脂の容器で使いましょう。 直接スプーンで飲まない 喉や胃腸を刺激しやすいため、そのまま飲まず、飲み物や食事に混ぜて摂取してください。
科学的根拠(参考研究)
St-Onge MP, et al. Obesity Research(2002年):MCT摂取でエネルギー消費と脂肪減少が増加 Reger MA, et al. Neurobiology of Aging(2004年):MCT摂取が記憶力向上に寄与 Courchesne-Loyer A, et al. Frontiers in Psychology(2013年):MCTによるケトン体の迅速な生成
まとめ
MCTオイルは、使い方を誤らなければ、ダイエット・脳の健康・運動能力向上のすべてに貢献できる優秀な脂質源です。特に下痢しやすい方は、1回の摂取量を抑え、少量を複数回に分けて摂ることが鍵になります。