パワーリフティングのブレーシング|スクワット・デッドリフトで高重量を支える技術
高重量のスクワットやデッドリフトでは、脚力や背筋力に加え、力をかける前に胴体を固め、苦しい局面でもその支えを保つ技術が求められます。
その中心となるのが「ブレーシング」です。
千葉県木更津市のパーソナルトレーニングジム、小濱トレーニングジムのパーソナルトレーナー、小濱裕司です。
🏋️ 10月24日(土)のトレーニング
本日10月24日(土)は、47歳になって初めての床引きデッドリフトを行い、次の順に重量を上げました。
📈 200kg → 210kg → 220kg
床から引くと、無意識に左膝をかばってしまい、腰に過度な負担がかかっていると感じています。
既往症の左膝や右腰への影響を考え、今後はプレートの下にマットを敷き、スタート位置を少し高くしたデッドリフトを行っていく予定です。
呼吸と腹圧の準備に加え、現在の身体に合う設定も見直しながら、トレーニングを続けていきます。
① 🧱 腹圧と筋肉で「体幹剛性」をつくる
体幹剛性とは、外力によって胴体の形が変わることに抵抗する性質です。腹筋群と脊柱起立筋などの協調に、腹腔内の圧力である腹圧が関わります。
研究では、ブレーシングによる腹圧・体幹筋活動の増加や、腹圧上昇による腰椎の剛性向上が示されています。[1][2]
競技では、この支持力を使って胴体の不要な変形を抑え、膝や股関節を伸ばす力をバーベルへ伝えます。ただし、腹圧の数値が高いほど必ず1RMが伸びる、とまでは断定できません。
② 🌬️ 吸気と腹壁の緊張を組み合わせる
準備の基本は、次の3段階です。
❶ 構えを整える。
❷ 吸気で胴回りを広げる。
❸ 腹部全体に張りをつくる。
腹部の前側に加え、脇腹や背面にも広がる「360度」のイメージを使います。これは力の入れ方を覚えるための合図で、全方向へ均等に膨らませることが必須条件ではありません。
高重量では、吸気後に声門を閉じ、息を外へ出さずに呼気努力を加える「バルサルバ法」を併用します。
✅ ブレーシング:筋肉による支持
✅ バルサルバ法:呼吸の操作
この2つを区別して考えます。
胸を張る、肋骨を下げるといった合図は、実際の競技フォームで張りをつくれるかを基準に選びます。全員に同じ骨盤角度を当てはめる必要はありません。[6]
③ 🦵 スクワットは、ラックアウトと下降前に準備する
❶ ラックアウト
体幹を固め、バーを安定させてラックから外します。
❷ 下降前の準備
ウォークアウトで足位置を決め、吸気とブレーシングを整え直します。
❸ 最下点から切り返し
バーの速度が落ちるスティッキング領域まで、腹部と背部の張りを保ちます。この局面で息を一気に吐き切ったり、腹部を緩めたりしないようにします。
❹ 次の反復へ
立位に戻って安定したところで、バーを支える緊張を残しながら次の呼吸を入れます。
ローバーとハイバーでは上体の前傾角度が異なります。確認したいのは、選んだフォームの中で、胸郭と骨盤の位置関係が急激に変わっていないかという点です。[6]
④ 🏋️ デッドリフトは、腹圧をつくってからスラックを取る
デッドリフトは、床上で静止したバーに力を伝える種目です。下降動作を伴うスクワットとは、最初の張力をつくる条件が異なります。
実践では、次の順序を確認します。
❶ 立位またはグリップ後に吸気し、床離れ前にブレーシングを済ませる。
❷ 腕を伸ばしたままバーへ張力をかけ、身体とバーの遊びを取る。
❸ 全身の張りを保ち、足で床を押す意識で挙上する。
❹ 膝と股関節を伸ばしてロックアウトし、腰を過度に反らせない。
この「遊びを取る」操作が、スラックを取るということです。急激に引っ張る前に、負荷を受け止める準備を整えます。
コンベンショナルでもスモウでも、構えた姿勢で腹部の張りを再現し、引き始めに脊柱の形が急変していないかを確認します。[7]
⑤ 🎯 ベルトは、腹部の張りを受け止める補助に使う
スクワットとデッドリフトの実験では、ベルト着用によって腹圧が高まることが報告されています。[3][4]
実践では、腹部をベルトの内側へ押し当てる感覚を使います。
✅ 吸気や構えを妨げない位置・締め具合を、種目ごとに確認する。
✅ ベルトを巻いた状態でも、自分で張力をつくる。
⑥ 🔁 メインセットでも1回ごとの再現性を優先する
複数回のセットでは、次の位置で呼吸と構えを整え直す方法を使います。
✅ スクワット:立位に戻ったところ
✅ デッドリフト:床に戻したところ
ウォーミングアップから準備の順序をそろえ、重量が増えても、切り返しや床離れで支持力を失っていないかを動画で確認しましょう。フォームの変化は、ブレーシングに加えて筋力や疲労、セットアップも含めて評価します。
⚠️ 呼吸法の注意点
強いバルサルバ法は血圧上昇を大きくします。高血圧や心臓・脳血管の病気などで運動上の注意を受けている方は、主治医の指示に従ってください。[5]
📚 参考文献・競技指導資料
[1] Tayashikiら(2016)腹圧と体幹筋活動
[2] Hodgesら(2005)腹圧と腰椎剛性
[3] Landerら(1992)スクワットとベルト
[4] Harmanら(1989)デッドリフトとベルト
[5] Linsenbardtら(1992)呼吸方法と血圧反応
[6] Greg Nuckols:スクワットの競技指導
[7] Greg Nuckols:デッドリフトの競技指導
📍 記録向上を目指す方へ
小濱トレーニングジムでは、筋力だけでなく、ラックアウトや床引き前の準備、呼吸と腹圧の使い方まで確認し、スクワット・デッドリフトの記録向上をサポートします。
皆様のご利用をお待ちしております。



