糖尿病治療薬「マンジャロ」を使う方へ

近年、糖尿病治療薬 マンジャロ(一般名:チルゼパチド) を使用する方が急増しています。

強力な食欲抑制や体重減少作用があるため、「短期間で大きく痩せた」という話題が広まっています。

しかし、誤った理解を持ったまま使い続けると、体重は落ちても 体力低下・筋肉量の減少・リバウンドリスク増加 につながるケースもあります。

ここでは、マンジャロを使用する方が必ず知っておきたい“体の中で何が起きているのか”を解説します。

◆ マンジャロはなぜ体重が落ちるのか?

マンジャロは GIP(消化管ホルモン)GLP-1(インクレチン) という2つのホルモンに作用する薬です。

医学的に確認されている主な作用は次の通りです。

・食欲が大幅に低下する

・満腹感が長く続く

・胃の動きを遅らせ、食べたい気持ち自体が弱まる

・血糖値を安定させる

これらの作用により、自然と摂取カロリーが減り、急激な減量が起こることがあります。

使う人によっては、100kg以上から短期間で大幅に体重を落とすケースもあります。

◆ 副作用が起こりやすい理由

マンジャロは効果が強い分、副作用もよく見られます。

代表的なのは

・吐き気

・下痢

・便秘

・胃もたれ

・食欲不振

これらは 胃腸の動きを遅くする作用 によるものです。

食事がほとんど入らないほど食欲が落ちるケースもありますが、これは薬が強力に作用している状態です。

◆ 急激に体重が落ちると、筋肉も落ちやすい

パーソナルトレーナーとして最も注意しているのはここです。

人間の体は、大幅なカロリー不足が続くと、筋肉を優先して分解しエネルギーに変えるという特徴があります。

そのためマンジャロ使用者には

・体重は落ちているのに

・体力が落ちる・疲れやすい・筋量が減る

という現象が起こりやすくなります。

「痩せた=良い状態」とは限らず、むしろ“筋肉の消失”が進んでいる場合もあります。

◆ 筋肉が落ちると何が起きるのか?

医学的に明確なリスクがあります。

・基礎代謝が低下し 太りやすい体質になる

・血糖コントロールが悪化し 糖尿病が悪くなることもある

・ふらつき・転倒・疲労が増える

・重いものを持てない、階段が辛いなど 生活の質が低下

薬だけでの減量は、見た目の数字とは裏腹に「体の土台」を弱くしてしまう可能性があります。

◆ マンジャロ使用者がやるべき“正しいトレーニング”

マンジャロの強力な効果を“健康的な体づくり”に活かすには

筋肉を守るトレーニング が必須です。

大事なのは以下のポイントです。

週2〜3回の筋力トレーニング

特に大筋群(胸・背中・脚)を優先。 ⑵低血糖に注意し、強度は徐々に上げる  急な追い込みは体調を崩します。

タンパク質摂取の確保

食欲が落ちている人ほど重要。

極端な食事制限と併用は危険

筋量低下がさらに加速します。

体重を減らすこと自体はマンジャロが助けてくれますが、

“筋肉を残して健康的に痩せる”部分はトレーニングでしか守れません。

◆ マンジャロ使用者には「専門家の伴走」が不可欠

マンジャロは強い薬です。

体重が落ちるスピードも、食欲が落ちる度合いも、個人差が非常に大きい特徴があります。

そのため、

急激に体調が落ちていないか

筋量が減りすぎていないか

トレーニング強度が適切か

こうした点を継続的に見守りながら調整することが、安全かつ効果的です。

薬の作用で“食べられない状態”が続いている方ほど、慎重なサポートが必要になります。

■ まとめ

マンジャロは医学的に認められた非常に強力な糖尿病治療薬ですが、

・体重が減る仕組み

・副作用の理由

・筋肉が落ちるリスク

・トレーニングの重要性

これらを正しく理解し、体重の数字だけで一喜一憂しないことが大切です。

薬で体重を落とすことはできますが、

健康な体をつくるのは“正しいトレーニング”だけが担える部分です。

マンジャロを使用中の方には、

「数字ではなく健康を守る減量」を意識していただきたいという思いでまとめました。