ホエイプロテインの価格が上がり、「以前と同じ回数では飲み続けにくい」と感じる人が増えています。実際、国内メーカーも2026年6月、世界的な需要増加とホエイ原料価格の上昇を理由に価格改定を発表しました。
2026年8月10日の公式通販価格では、低価格帯のWPCでも3kg・11,990円、つまり粉末1kg当たり約4,000円の例があります。一方、私が現在飲んでいるソイプロテインは3kg・4,999円で、粉末1kg当たり約1,666円です。ただし、粉末1kgの価格だけでは正確に比較できません。商品ごとにタンパク質含有率が違うためです。
しかし、ホエイを減らすことと、タンパク質まで減らすことは別問題です。
コストを抑えるなら、ソイプロテインを軸にし、鶏むね肉、卵、豆腐、納豆、豆乳、魚の缶詰を組み合わせるのが現実的です。ホエイを完全にやめる必要もありません。飲みやすさや携帯性が必要な場面だけホエイを使い、それ以外を安価な食品やソイで補えばよいのです。
※栄養価は文部科学省の食品成分データベース(日本食品標準成分表・八訂増補2023年)、価格は2026年8月10日に確認できた国内の公式通販・ネットスーパー等を基にした概算です。地域、店舗、容量、セール、送料によって変動します。掲載商品は計算例であり、特定商品の広告や購入推奨ではありません。
最初に決めるのは「1日に何g必要か」
筋トレで筋肉量を増やしたい健康な成人なら、1日の目安として体重1kg当たり約1.6gから考えると実用的です。
49研究を統合したメタ解析では、レジスタンストレーニングによる除脂肪量の増加に対する上乗せ効果は、平均すると1日約1.6g/kg付近で頭打ちになりました。これは全員に共通する絶対値ではありませんが、予算を組む基準として使いやすい数字です。
● 体重60kg:1日約96g
● 体重70kg:1日約112g
● 体重80kg:1日約128g
「とりあえずプロテインを何杯も飲む」のではなく、食事を含めた1日合計を先に確認しましょう。肉、魚、卵、大豆製品だけでなく、ご飯、パン、麺類にも少量のタンパク質は含まれます。
なお、この記事では価格を比べやすくするために「タンパク質20g当たり」を使います。20gがすべての人に最適な1食量という意味ではありません。体格や食事回数によっては、1食25~40g程度になることもあります。
ソイプロテインは、ホエイの有力な代替になる
ソイプロテインは「植物性だから筋肉がつきにくい」と一括りにはできません。
2025年のメタ解析では、植物性と動物性をすべてまとめると動物性に小さな優位性が示された一方、ソイと乳タンパク質の比較では筋肉量の増加に有意差がありませんでした。ただし、研究の多くは豆腐や納豆ではなく、大豆からタンパク質を濃縮・分離したソイプロテインを使っています。2026年の長期試験のメタ解析でも、十分なタンパク質量を確保した条件では、主にソイと乳製品の間に体組成や筋力の明確な差は認められませんでした。ただし運動を組み合わせた研究は少なく、エビデンスの確実性には限界があります。
したがって、正確な表現は「ソイはホエイと必ず完全に同じ」ではなく、1日の総タンパク質量を満たすための、根拠のある実用的な選択肢です。
私が飲んでいるソイプロテインは、タンパク質20g当たり約47.6円
私が現在飲んでいるのは、Verifyst(ベリフィスト)ソイプロテイン100・チョコレート風味です。内容量は3kg、購入価格は4,999円でした。
公式の栄養成分表示は次のとおりです。
● 1食:粉末30g
● エネルギー:106.3kcal
● タンパク質:21.0g
● 脂質:0.6g
● 炭水化物:5.3g
● 食塩相当量:0.7g
3kg入りなので、30gずつ使用すると100食分です。
● 1食当たりの費用:4,999円 ÷ 100食 = 約50円
● タンパク質1g当たりの費用:4,999円 ÷ 2,100g = 約2.38円
● タンパク質20g当たりの費用:約2.38円 × 20g = 約47.6円
タンパク質含有率は、21g ÷ 30gで**70%**です。パッケージにある「たんぱく原料としてソイプロテイン100%」という表示は、粉末の全量がタンパク質という意味ではありません。「使用しているタンパク質原料がソイ由来」という意味です。
1食約50円でタンパク質21gを確保できるため、購入価格を基準にすれば、鶏むね肉、卵、豆腐などと比べても非常に高いコストパフォーマンスです。一方、1食当たり食塩相当量が0.7gあるため、1日に複数回飲む場合は他の食事を含めた塩分量も確認したほうがよいでしょう。
購入時は、袋の重さや1杯の粉末量ではなく、次の式で比べます。
タンパク質20gの費用 = 商品価格 ÷ 商品全体のタンパク質量 × 20
今回の商品なら、袋全体に含まれるタンパク質は2,100gです。
4,999円 ÷ 2,100g × 20g = 約47.6円
味、溶けやすさ、送料も継続には重要ですが、価格比較では「1食分の粉が何gか」ではなく「実際にタンパク質を何g取れるか」を必ず確認してください。
コストパフォーマンスの良い食品7選
1.鶏むね肉(皮なし)
鶏むね肉は、安さ、タンパク質量、低脂質のバランスが非常に良い食品です。
● 生100g当たり:タンパク質23.3g、105kcal
● 小売価格の目安:100g当たり90円前後~140円前後
● タンパク質20g分の費用:約80~120円
安い日にまとめて買い、1食分ずつ冷凍しておくと価格変動の影響を抑えられます。酒、塩、片栗粉などで下処理すると、加熱後も硬くなりにくくなります。
2.木綿豆腐
木綿豆腐は、冷蔵庫から出してすぐ食べられ、料理にも足しやすいのが強みです。
● 100g当たり:タンパク質約7.0g、73kcal
● 300g当たり:タンパク質約21g、219kcal
安い商品なら、タンパク質20gを100円以下で確保できます。ただし、同じ20gを取る場合はソイプロテインや鶏むね肉より量とカロリーが増えます。豆腐だけで帳尻を合わせるより、肉や魚の量を少し減らす用途に向いています。
3.納豆
納豆はタンパク質だけでなく、食物繊維も取れるのが利点です。
● 100g当たり:タンパク質16.5g、184kcal、食物繊維9.5g
● 1パック40~50g:タンパク質約6.6~8.3g
● 3パック:タンパク質約20~25g、価格目安約100円~170円前後
3パックを一度に食べる必要はありません。朝食に1パック加えるだけでも、1日の不足分を7~8gほど埋められます。付属のたれを使う場合は、食塩相当量も商品表示で確認しましょう。
4.卵
卵はタンパク質単価に加え、調理のしやすさと栄養密度に優れます。
● 可食部100g当たり:タンパク質12.2g、142kcal
● Mサイズ1個の可食部を約50gとすると:タンパク質約6.1g、約71kcal
● 2026年7月の全国平均:10個307円
3個で約18g、4個で約24gのタンパク質です。全国平均価格なら、タンパク質20g相当の費用は約100円になります。脂質とカロリーも増えるため、卵を4個食べて単独で20gを狙うより、卵2個に納豆や豆乳を合わせる方法が使いやすいでしょう。
5.無調整豆乳
豆乳は、食事だけでは数g足りないときの「追加要員」に向いています。
● 100g(おおむね100ml)当たり:タンパク質約3.6g、43kcal
● 200ml当たり:タンパク質約7.2g、86kcal
豆乳だけでタンパク質約20gを取るには560ml前後が必要で、費用は約150~160円、エネルギーは約240kcalになります。安価ではありますが、一度に大量に飲むより、朝食やソイプロテインに200ml加える使い方が現実的です。
6.さば水煮缶
さば水煮缶は最安ではありませんが、常温保存でき、タンパク質と魚の脂質を一緒に取れる点を含めると優秀です。
● 可食部100g当たり:タンパク質20.9g、174kcal
● 150~190g缶の実売例:150g・162円~190g・286円
内容量には缶汁が含まれる商品があるため、「1缶○g」だけで計算せず、缶に記載された1缶当たりのタンパク質量を確認してください。食塩不使用タイプを選ぶと、塩分を調整しやすくなります。
7.ツナ水煮缶
ツナ水煮は、低脂質で持ち運びやすい一方、安さだけなら鶏むね肉や豆腐に負けます。
● 70g缶の一例:タンパク質10.9g、48kcal
● 2缶で:タンパク質21.8g、96kcal
● ケース価格から換算した2缶の目安:約280~300円
自炊できない日や、昼食のタンパク質を手軽に10g追加したい日に便利です。「最安の主力」ではなく、外食や欠食を防ぐための備蓄と考えると価値があります。
体重70kg・目標112gの組み合わせ例
主なタンパク源だけを数えると、次のように組めます。
● 朝食:卵2個 約12g + 納豆1パック 約7g + 豆乳200ml 約7g = 約26g
● 昼食:鶏むね肉150g = 約35g
● 間食または運動後:ソイプロテイン1食 = 約21g
● 夕食:さば水煮100g 約21g + 木綿豆腐150g 約11g = 約32g
合計は約114gです。実際には、ご飯や野菜などに含まれる分も加わります。毎日まったく同じ献立にする必要はなく、さばを鶏肉やツナに、豆腐を卵や納豆に入れ替えれば継続しやすくなります。
節約のつもりで失敗しやすい選び方
「高タンパク」と書かれた商品の価格だけを見る
プロテインバー、プロテイン飲料、ギリシャヨーグルト、サラダチキンは便利ですが、加工・個包装・冷蔵流通の費用が加わります。自炊できる日は鶏むね肉、卵、豆腐、納豆を使い、これらは外出時に限定すると支出を抑えやすくなります。
ナッツやチーズを低カロリーなタンパク源だと思う
ナッツやチーズにもタンパク質はありますが、脂質とカロリーも多く、タンパク質20gを確保する目的では効率がよいとは限りません。健康的な食品かどうかと、タンパク質単価が安いかどうかは別です。
プロテイン粉末の重さを、そのままタンパク質量として数える
今回の商品も、粉末30gに対してタンパク質は21gです。粉末には糖質、脂質、香料なども含まれるため、1食30gを「タンパク質30g」と数えることはできません。必ず栄養成分表示の「タンパク質」を記録してください。
安い食品を一種類だけ大量に食べる
豆腐や納豆だけ、卵だけに偏ると、カロリー、脂質、塩分、食べる量が増えやすくなります。ソイプロテイン、肉、魚、卵、大豆食品を組み合わせたほうが、栄養と継続性の両方を確保できます。
高騰時代は「ホエイ一択」から組み合わせへ
費用を抑える基本形は、次の4点です。
● まず体重から1日の目標量を決める
● 不足分をソイプロテインで安価に補う
● 主菜は鶏むね肉、卵、豆腐、納豆を中心に回す
● 魚の缶詰やホエイは、保存性や飲みやすさが必要な場面で使う
ホエイの価格が上がっても、筋トレをやめたり、タンパク質量を大きく落としたりする必要はありません。商品名や宣伝文句ではなく、タンパク質20g当たりの費用、カロリー、調理時間、保存性を比べれば、自分に合った組み合わせが見つかります。
腎機能に問題がある人、医師からタンパク質制限を指示されている人、食物アレルギーがある人は、本記事の目安をそのまま使わず、医師または管理栄養士に相談してください。
参考資料
● Morton RW, et al. British Journal of Sports Medicine, 2018
● Lim MT, et al. Nutrition Reviews, 2025
● Frontiers in Nutrition:長期の植物性・動物性タンパク質介入試験のメタ解析、2026

