筋トレで膝や肩が痛くなるのはなぜ?

筋力トレーニングを始めると、

「ベンチプレスで肩が痛い」

「スクワットで膝が痛い」

「年齢的に関節が心配」

という声をよく耳にします。

特に40代以降になると、若い頃には感じなかった違和感や痛みを経験する方も少なくありません。

その結果、

「筋トレは関節に悪い」

「年齢を重ねたら重い重量は危険」

と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。

関節痛の原因を正しく理解し、適切に対処すれば、年齢に関係なく筋力トレーニングを継続することは可能です。

■ 関節痛の原因は軟骨だけではない

肩や膝が痛くなると、

「軟骨がすり減ったのでは?」

と心配される方がいます。

確かに変形性膝関節症などでは軟骨の変性が関係することがあります。

しかし、関節の痛みは軟骨だけが原因ではありません。

関節の周囲には、

・筋肉

・腱

・靭帯

・関節包

・滑膜

など様々な組織があります。

実際には、これらの軟部組織が痛みの原因になっていることも少なくありません。

また、MRIやレントゲンで軟骨の変性が見つかっても痛みがない方もいれば、画像上ほとんど異常がなくても痛みを感じる方もいます。

つまり、

「軟骨が減った=痛み」

ではなく、複数の要因が関係していると考えられています。

■ 怪我には急性型と蓄積型がある

怪我には大きく分けて2つのパターンがあります。

① 急性型

転倒や接触などによって、一度に大きな力が加わって起こる怪我です。

・骨折

・脱臼

・靭帯断裂

などが代表例です。

② 蓄積型

小さな負荷が何度も繰り返されることで起こる怪我です。

・腱板障害

・上腕二頭筋長頭腱障害

・膝蓋腱障害

・アキレス腱障害

などが代表的です。

筋力トレーニングによる関節痛の多くは、この蓄積型に分類されます。

■ 「最後の1セット」が原因とは限らない

肩や膝が痛くなった時、

「最後のセットで痛めた」

と思うことがあります。

しかし実際には、そのセットだけが原因とは限りません。

例えば、

・睡眠不足

・仕事による疲労

・精神的ストレス

・飲酒

・栄養不足

・トレーニング疲労の蓄積

などが積み重なり、ある日痛みとして表面化することがあります。

ただし、疲労だけが原因ではありません。

・フォームの乱れ

・柔軟性不足

・筋力不足

・可動域不足

・急激な負荷増加

なども大きく関与します。

関節痛は一つの原因ではなく、複数の要因が重なって発生することが多いのです。

■ なぜ肩と膝は痛みが出やすいのか

肩は人体の中でも非常に可動域の大きい関節です。

そのため、

・ベンチプレス

・腕立て伏せ

・ショルダープレス

などの動作では、回旋筋腱板や上腕二頭筋長頭腱に大きな負荷がかかります。

一方で膝は、

・スクワット

・ランニング

・ジャンプ

・階段昇降

など日常生活でも頻繁に使用されます。

特に膝蓋腱や大腿四頭筋腱には大きなストレスがかかるため、疲労が蓄積しやすい部位でもあります。

■ 関節を守るための5つのポイント

① 急激に負荷を増やさない

重量や回数、セット数を急激に増やすと腱や靭帯への負担が大きくなります。

初心者の場合は、前週より重量を2.5〜5kg増やす、または回数を1〜2回増やす程度から始めるのがおすすめです。

例えばスクワットを100kgで10回×3セット行っているなら、翌週は102.5〜105kgで同じ回数を目指す、もしくは100kgのまま11〜12回に増やすといった方法です。

毎回記録をつけ、1〜2週間ごとに少しずつ負荷を上げることで関節への負担を抑えながら成長できます。

② 疲労時は無理をしない

疲れている日は、

・重量を10〜20%下げる

・回数を2〜3回減らす

・セット数を1セット減らす

・休憩を30〜60秒長く取る

などの調整を行いましょう。

例えばベンチプレスを90kgで行っている方なら、その日は72〜81kgに下げてフォーム練習の日にするのも有効です。

週2〜3回トレーニングする方は、4〜6週間に1回程度、全体の負荷を軽くする調整週を設けると疲労の蓄積を防ぎやすくなります。

根性だけで押し切ることは怪我のリスクを高めます。

③ 痛みを0か100で考えない

少し痛いからといって必ず完全休養が必要とは限りません。

軽い違和感程度であれば、

・重量を20〜30%下げる

・可動域を調整する

・種目を変更する

などの工夫を行いながら継続できる場合もあります。

例えば肩に違和感がある場合は、ベンチプレスをダンベルプレスや腕立て伏せに変更する、膝が気になる場合は深いスクワットを浅めのスクワットやレッグプレスに変更するといった方法があります。

ただし、

・強い痛み

・腫れ

・熱感

・力が入らない

・関節の不安定感

・日常生活に支障がある

場合は医療機関を受診しましょう。

④ インナーマッスルだけに頼らない

肩が不安だからといって、チューブ運動だけを続ければ良いわけではありません。

肩関節を安定させるためには、

・回旋筋腱板

・三角筋

・前鋸筋

・僧帽筋

・広背筋

などが協調して働く必要があります。

そのため、

・ローイング

・ラットプルダウン

・腕立て伏せ

・ベンチプレス

などの基本動作も重要になります。

初心者であれば週2回程度、各種目10〜15回×2〜3セットから始めると無理なく取り組めます。

特にローイングやラットプルダウンなどの引く種目を押す種目と同じくらい行うことで、肩周りのバランスを整えやすくなります。

⑤ 睡眠と栄養を軽視しない

筋肉だけでなく、腱や靭帯も回復するためには十分な栄養と睡眠が必要です。

目安として睡眠は1日7〜8時間を確保し、トレーニングを行う日は体重1kgあたり1.2〜1.6g程度のタンパク質を摂取しましょう。

例えば体重70kgの方なら、1日84〜112g程度のタンパク質が目安になります。

また、水分不足も関節周囲のコンディションに影響するため、こまめな水分補給も意識しましょう。

トレーニングだけでなく、生活習慣全体を整えることが大切です。

■ 関節を強くするために必要な考え方

関節を守るとは、

「使わないこと」

ではありません。

適切な負荷をかけながら少しずつ耐久性を高めていくことが重要です。

筋肉がトレーニングによって強くなるように、腱や靭帯も適切な刺激によって適応していきます。

だからこそ、

・急がない

・無理をしない

・しっかり回復する

ことが重要です。

年齢に関係なく、適切な負荷管理と十分な回復を行えば、筋力トレーニングは長く続けることができます。

関節を守るために必要なのは過度に恐れることではなく、自分の身体の状態を把握しながら賢くトレーニングを続けることです。

一生動ける身体を目指して、関節とも上手に付き合っていきましょう。